なぜ寂しい?

 

4月だぁ、と思っていたら、いつの間にか桜前線は北上し、もう北海道に到着。

冬の間、荒れたままにしていた庭を草が覆い新緑が眼に眩しい。

いつからか、寂しい、寂しい、寂しいようー‥‥呟きながら、時間だけが過ぎた。

老いに向けて、ゆっくり自分の時間を持ちたいと、仕事量を減らし、やりたいリストも作った。

何がきっかけかはわからない。やることを明日、明日と日延べしていたら、いつの間にか何もしなくなった。きっと心のどこかで「何故か」はわかってはいる。

 

  芽吹き

 

裏庭の柚子の木が、蝶の幼虫に葉を喰いつくされた。次々と(まるでポリポリ)葉を食べながら成虫になっていくのを、どこか冷やかすように眺めていた。羽化をみたいという思いもあったが、残念ながら羽化には遭遇できなかった。

すっかり丸裸にされ、枝に見間違うほどの棘ばかりが目立つ姿が余計に痛々しい。そんな寒々しい姿を昨年の秋以来見続けてきた。

4月に入ったばかりのある日、芽吹いた柚子の木に気がついた。

薄黄緑色の新芽は、

「やっと出られたよー」と、言っているように思えた。奇妙な感動だった。

あらためて庭を見まわした。何とかしなきゃ、勢いを増していく樹々の緑に、体の奥から何かが噴きあがっていく。続く