前回からの続きです。

 

ERのドクターから信じられない言葉を聞いた後に、夫のいる病室(処置室)に連れていかれました。

 

そこには変わり果てた彼の姿がありました。

 

口からはチューブが入っていて、腕には点滴の針。

 

呼びかけにも全く応じる気配はありませんでした。

 

 

ERのドクターは

「これからご主人をICUに移してしばらく様子を見ます。」と言いました。

 

移動して準備が整うまで時間がかかるので、私はいったん帰宅するよう言われました。

 

頭の中は真っ白…でも、まだ希望を捨ててはいませんでした。

 

 

脳のダメージも軽いかもしれない。

 

リハビリで元に戻るかもしれない。

 

 

そんな希望がありました。

 

病院を出てすぐに義姉に電話をして状況を伝えました。

 

彼女はとてもショックを受けていました。

 

そして、「そっちに行こうか?」と言ってくれたのですが、もうちょっと様子を見たいので、

明日また状況を報告するから、その時の状況で来てほしいかも…と答えました。

 

帰宅後

「彼の車がまだスーパーに置いたままだ。」と気づき、取りに行かなければと思いました。

 

幸い近所に在宅勤務をしている友人がいるので、彼女に電話をして、簡単に状況を説明すると

 

「わかった!」と、すぐに我が家に迎えに来てくれました。

 

彼女の車に同乗し、スーパーに行くと、夫の車はすぐに見つかりました。

 

友達にお礼を言い、私は夫の車を運転して帰宅しました。

 

 

その後、再び病院へ。

 

 

受付で名前を告げると、夫が入院しているICUの部屋番号を教えてくれました。

 

 

ここの病院はとても大きく、ERからICUの入院病棟はかなり離れています。

 

途中、ナースや従業員に何度も道を聞きながらようやくたどり着きました。

 

しかし、まだ面会の準備ができていないようで、待合室で再び長く待たされました。

 

ようやく部屋に呼ばれて、病室に入ると…夫はERの時と同様にチューブが入った状態で眠っていました。

 

 

しばらくして、病室に来た医師は、ERのドクターと同様に、かなり厳しい状況だと言いました。

 

今は麻酔で眠っているけど、目を覚ます可能性もあるから、何度も声掛けをしてね。と言いました。

 

 

私は、必死に彼の手を握り、声掛けをしました。

 

…が、目を覚ます雰囲気はありませんでした。

 

 

午後11時を過ぎた頃、私は帰宅することになりました。

 

本当は面会時間は午後8時までだったようです。

 

でも、状況が状況なので、何も言わずにいさせてくれたのでした。

 

 

帰宅すると、夕飯にいただく予定だったスープが冷たくなっていました。

 

本当なら今度の土曜日から、3年ぶりのハワイ島旅行だったのに…

 

 

いや、旅行なんてどうでもよい。

 

とにかく彼に元気になって戻ってきて欲しい。

 

…でも、その可能性も果てしなく低い、絶望的な気分でした。

 

 

昨日の日曜日はデッキで彼の髪をカットしたばかりだったのに。

 

ハワイ島でバケーションする気持ちでウキウキしていたのに。

 

まさに、人生が一変した日でした。

 

 

60年以上生きて、一番辛い一日でした。