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F1と技術開発

F1にはレースと言う娯楽の側面と、少なくとももうひとつ、技術開発と言う側面があります。




20世紀において、よりパワー、よりスピードと言う要求も強く、F1は費用はかかるものの偉大な実験室と言う事が出来ました。



今でも、フェラーリのようなメーカーはそうでしょう。量産も小規模で、高価なレーシングベースのマシーンしか作っていない。F1と言うイベントで楽しむ一環としてに車を買うという、いわばお客様がF1スポンサーと言った扱いに近い。



こういうメーカーは世界に何社かあって、F1の成績がすべてですから本気です。これらの自動車メーカーには、たとえ赤字でもF1を継続して欲しいと思います。その為のお金も集まりやすいでしょう。レースのパトロンは、今でも世界中に居る。




しかし、トヨタもホンダも一般車メーカーです。多くの人が求める車を提供し続けなければなりません。



21世紀の一般車に求められるものは何でしょうか。



それはF1のような、パワー、スピードではなく、環境との共存です。そのような要素技術がF1から開発される事は無いでしょう。



なぜかと言うと、環境対応はパワーソース、つまりエンジンを使わないことが最も効率的だからです。



次世代車技術として、電気自動車、燃料電池車等が挙げられていますが、多くの技術に共通するのは、電気で動くということです。



今までは大きなエンジンを動かして、その力を伝えることで車は動いていた。しかし今後は、動かしたいところにモーターが入って動くので、力を伝える機構は極めて小さくなるという構造の違いがあります。



タイヤのすぐ近くにモーターがあって、走る、曲がる、止まるを制御する事が出来る。



エンジンから力を伝える必要もなければ、ハンドルから力を伝えて操舵する必要も、ブレーキを踏んだ力を押し付ける必要もありません。ラジコンのように、ちょっとレバーをひねって信号を送れば、すべてできてしまいます。



正に、自動車の作り直しが起ころうとしているのです。




そうなった時にどうなるか。



今まで自動車メーカーは、可動機構の擦り合わせ技術で優位性を保ってきました。しかしそれがなくなり、組み合わせで車を作れる時代が来るのです。



市場参入障壁は下がり、今の自動車メーカーの持っている優位性は相対的に下がり、新興メーカーが突然大きなシェアを取ることも考えられます。



これは特に、新興国市場で顕著でしょう。市場的にも拡大するし、それに合わせて国によるインフラ整備の資金投入も盛んに行われる事が予想できる。



先進国でも新たなインフラ整備が課題となるので、それが整備される地域とそうでない地域ですみ分かれるかもしれない。



つまり、21世紀においても自動車の需要は増えると思われますが、その自動車は、今我々が自動車と呼んでいる物の在り方とは大きく異なるだろうという事です。



その結果、今大手自動車メーカーと呼ばれているメーカーが、21世紀も大手自動車メーカーであり続けるかどうかは分からないのです。




この不景気で、自動車産業は20世紀の産業だった、21世紀には衰退すると言う意見と、新興国ではこれから自動車文明が発達するのだから、自動車産業は21世紀も発展するという意見があります。



私はどちらの意見もずれていて、21世紀も自動車産業は発展するが、その自動車は今の自動車とは技術的にもインフラ的にも異なるもので、今の自動車メーカーだけがそれを支えるわけではないと考えています。




F1で次世代自動車技術が開発されるか否か?



F1を継続するトヨタ。宣伝費と技術開発費が含まれる350億円は、費用対効果としては大した額ではないと考えているのかもしれません。



ホンダは、F1から撤退した費用の一部は、環境対応技術の開発に回すと表明しています。



両社の対応のどちらが正しいでしょうか。



結論はすぐには出ませんが、私はホンダを支持したいと思っています。