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横浜紅葉坂シネマ倶楽部

映画・音楽の感想を中心に・・・(注:ネタバレあり)


横浜紅葉坂シネマ倶楽部

【 制作 】 2001

【 監督 】 アントワーン・フーケア

【 出演 】 デンゼル・ワシントン、イーサン・ホーク

        スコット・グレン 他

【 時間 】 122

【 内容 】

イーサン・ホーク演じる新米刑事と、

デンゼル・ワシントン演じるベテラン麻薬捜査官の対決を描いた作品。


主人公は出世のため野心に燃える、若き警察官ジェイク。

彼は刑事になるため麻薬捜査課への転属を希望し、

念願叶ってその勤務初日を迎える。


麻薬捜査課の上司は伝説のベテラン刑事、アロンゾ。

アロンゾは初日を訓練日、「トレーニング・デイ」として、

ジェイクに麻薬捜査官としての心得を次々と叩き込んでいく。

しかし、アロンゾはマリファナを買った学生を銃で脅したうえ、

彼らを逮捕もせずに、マリファナと現金を奪い取る。

そして、「優秀な麻薬捜査官は薬物を体で知っている」と言い、

ジェイクにそのマリファナを吸えと命じる。


「麻薬を吸うのではなく止めるのが仕事」だと拒否するジェイク。

するとアロンゾは彼に銃を突きつけ、

「組織に潜入中にヤクを断ったりしたら、

一発でサツだとバレてあの世行きだ!

そんな奴は要らないから交通課でお巡りでもしてろ!」と一蹴。

結局、ジェイクは仕方なくマリファナを吸う。


こうして、長い1日となる「トレーニング・デイ」が始まるのだが、

その後も強引な取り調べや捜査令状の偽装など、

次々と違法捜査や規則違反を犯すアロンゾに、

ジェイクは戸惑い、次第に強い疑念を抱いていく。


やがて、2人は対決することになるのだが・・・


【 感想 】

市民を守るために、規則を順守し、常に信頼され、

正しくあろうとするジェイク。

一方、本当に市民を守るためには巨悪を倒す必要があり、

そのためには自らも悪に染まる必要があると考える、

ベテラン麻薬捜査官のアロンゾ。

2人の異なるキャラクターを通して、

見る側に「正義とは何か?」ということを強く訴えてくる作品。


イーサン・ホークがとてもクリーンな役柄、ジェイクを演じていて、

一方、デンゼル・ワシントンが見事にダーティな演技をしていること、

そしてジェイクがある人を助けたことが、

巡り巡って大事なところで自分自身に返ってきたりで、

ラストを見終わると自然とすっきりした気持ちになってしまう。


その後、何となく「どちらかと言えば自分はジェイク側の人間」と確認し、

心のどこかで胸を撫で下ろしてしまったりする。


しかし、本当にそうだろうか?


例えば車を運転している時、あなたは常に法定速度を守っているか?

 ⇒どうせみんな守ってないんだから、捕まらない程度ならいいよね。


つい横断歩道で信号無視をしてしまったことはないか?

 ⇒今日は待ち合わせに遅れそうで急いでいるから、仕方ないよね。


「必要なら規則も破る。それが狼だ。」


結局、人間はその人が信じるものや大事にするもののために、

多少なりとも自分で「正義」を捻じ曲げてしまうことがある。


アロンゾもおそらく最初は、ジェイクと似た志を持っていたのだろう。

途中、アロンゾが「犯罪を追っていた昔の自分を思い出す」と言ったり、

情報屋が「一人で世界を救う気でいた昔のアロンゾにそっくりだ」

と言っているのも、その辺りを示している。


羊を守るために狼と闘う決意をし、そのために自らも狼となり、

「街」で力をつけるにしたがって、

その「正義」を自己中心的に捻じ曲げ続けた結果、

最後は金や権力に溺れてしまったのだろう。


善と悪、正義と不義。

簡単にいずれか一方に決めつけてしまうのは間違いだ。

誰の心にも善と悪、正義と不義は両方とも潜んでいるし、

その狭間には判断の難しい「グレーゾーン」があるだけで

結局は「程度問題」でしかないのだから。


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