『 ある日モテ期がやってきた 』 | 横浜紅葉坂シネマ倶楽部

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映画・音楽の感想を中心に・・・(注:ネタバレあり)



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【 制作 】 2010年

【 製作 】 ジム・フィールド・スミス

【 出演 】 ジェイ・バルシェル、、アリス・イヴ、T・J・ミラー 他

【 時間 】 104分


【 内容 】

主人公はいいヤツだがパッとしない外見のカーク・ケトナー。

彼女のマーニーには2年も距離を置かれた挙句、新しい恋人を作られてあっさりと捨てられてしまい、パイロットになる夢を持ちながら自分に自信の持てない彼は、ピッツバーグ国際空港の保安局で地味に働く毎日。


そんなある日、カークはニューヨークへ向かう超セクシーな美女、モーリー・マクリーシュに出会う。

モーリーが検査場に忘れた携帯を発見したカークは、「明日戻るから預かっていてほしい。ウォーホル美術館のパーティーで会いましょう」と告げられる。


携帯をモーリーに返し、さっさと帰ろうとするカークだが、引き留められ場違いなパーティーに留まることに。

そこでちょっとしたトラブルに遭うが、彼は原因を作ったモーリーの妹ケイティをかばい、パーティーを追い出されてしまう。


後を追ってきたモーリーに、埋め合わせに明日の夜ホッケーを見に行かないかと誘われるカーク。

こうして、ある日突然、彼のモテ期が始まるのだが・・・


【 感想 】

10点満点の美女に好意を持たれた5点の平凡な主人公の悪戦苦闘する姿を描いた、爽やかな青春コメディー。


ひょろっとしてサエない外見のカークは、突然始まった美女モーリーとの恋に慌てふためくばかりで、2人が良い雰囲気になると勢い余って射精してしまったり、彼女と初めての夜を過ごす準備として「毛」を全部剃ってみたりと、かなり迷走しまくり。

それでも、3人の親友達に見守られ、時に議論したり、励まされたりしながら、前へと進んでいく姿は結構ぐっとくるものがある。


5点の男と10点の女、それぞれに言い分はあって、

10点の女から見ると5点の男は自尊心が欠落し、常に他人と自分を比較しては自分を見下し、才能があるのにおじけづいている、と見えてしまう。


逆に5点の男から10点の女を見ると、大いに恵まれているのに些細な欠点を気にし過ぎていたり、5点だからこそ抱えている苦悩を分かっていなかったり、と見えてしまう。


カークは大学に行けなかったことや、自分のサエない外見、ダサい車、パイロットになる夢に踏み切れないでいる自分自身に、とても大きなコンプレックスを抱えていた。


一方でモーリーも、一度は法律事務所に就職するが「本当に自分のやりたい仕事?」と悩み、親に黙って事務所を辞めてイベントの企画をしていたり、パイロットである元彼カムに完璧な女であると無理に理想を押し付けられ、在りのままの自分を受け入れてくれる人を求めていたり、その裏返しで安全な、自分の傷付かない相手を選んでいたり、在りのままの自分を貫けない弱さがあった。


一度は喧嘩別れで終わりそうになるが、2人のために親友達が手を尽くしてくれたことで、自分達の弱さを認めたうえで、それでも一緒にいたいという結論に辿り着き、ついに点差を克服するのだった。


個人的には、主人公の外見は別として、正直で真っ直ぐな性格は10点に値するなぁと思ってしまった。

自分にも昔、似たような経験があって、やっぱり同じようなことを考えてしまった経験があります。

当時はとても背伸びをして頑張っていたので、大人になった今ではある意味、良い思い出になってたりしますが・・・


生きてくこと=壁にぶつかること、だったりするし、成長すること=壁を乗り越えること、だったりするので、こういうシンプルな映画でも本質を突いていれば、結構面白いものだなと思う。


そして、かつて親友の窮地を救ったことで今回その親友に救われる主人公を見て、やっぱり持つべきものは・・・と、思ってしまうのでした。