久しぶりに揚羽「また来世♪」 | 墜落症候群

墜落症候群

墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

「天田さんって一体いつ死ぬんですか?」
「別に俺は死なないよ。死なないっつーか……、精神にヤバいものを持っているから結果として死ぬことはあるかもしれないけれど、自分からは死なないよ」
「ふうん……そうですか」
「近親者に二人は自殺者がいるからって、あともう一方の家系は精神の方がヤバいからって、その両方の血が一番色濃く受け継がれた俺だからって、そう簡単に死ぬワケがないだろう?」
「でも、天田さんは死にたいんですよね……」
「…………」
「言い方を変えましょうか。天田さんは自信がないんですよね?」
「あるワケないよな……特にさ、小説を書こうとすると、絶望するよな。書けねえし。だからもう、プロになるのは諦めている部分もあるかもしれない……」
「ははは、醜い逃避ですね!」
「いやいや、逃避っていうワケでもないぜ。まあ、24才でフリーターで、それで小説家になるためにそうしてる、っていう大義名分を失ったら、世間的にはクズって感じか……」
「天田さんは雑魚ですね♪」
「まあ、それは認めないでもないけれど、逃げってだけでもないさ。だって、売れるかどうかとか、そもそも小説家になれるかどうかって他人の評価で決まるじゃん? どれだけの人を楽しませられるかで決まるじゃん?」
「天田さんの作品は、沢山の人を楽しませられないし、沢山の人に評価はされないんですか?」
「まあそうだね……というかさ、俺なんてさ、作品を書き上げることすらできないヤツなんだよ」
「小説を書くことが人生の意味だって思っているのに?」
「人生の意味をそれだけに限定しているワケじゃないけど……そうだね。小説を書くことに集中しようと思っている今でも、あんまり進められてない……」
「どうしてそうなんですか? どうしてそこまで、天田さんは愚かなんですか?」
「小説家になるような人間ってさ、それも人気作品を書けるような人間ってさ、二タイプくらいいると思うんだよね……」
「へえ?」
「まずはさ、子供の頃から物語を書くのが好きで好きで仕方がなかったタイプ。そしてそれを、友達とかクラスの子にも見せたりしちゃって、それである程度、評価をもらっていたタイプ」
「へえ、創作しながらも、それを周囲に受け入れられているタイプですか。天田さんとは真逆ですね♪」
「そうだね……俺は小中高と、特に創作もしていなかったし、それを見せる友達だっていなかったもんな……」
「あと、もう一方のタイプは、それまであんまり作品とかを書いたことがなかったんだけど、大学在学中にさあ就職先どうしよっかって考えて、さらさら作品書き上げて応募したら通っちゃうようなヤツ……」
「天才型ですね」
「俺が憧れる西尾維新もそんな感じのタイプかな……あの人はめちゃくちゃ手が早いから、そこが凄いんだけどな……まず」
「まあ、西尾維新って外れ作品もあるとか言いますもんね」
「でもまず、あれだけの刊行数があってさ、それでヒットシリーズが何個もあって、アニメ化したらすげえ当たるってまずないからねw オタク業界の作家ではかなり強いタイプの作者なんじゃないか。実際、ジャンプでも、看板作品並に人気とは言えなかったけれど、それでも完結まで物語は書いたもんな。経歴とかもあるだろうけれど、アンケートでもちゃんと生き残って、打ち切られなかったし……」
「西尾維新さんのことになると饒舌ですね?」
「まあ、好きだもんね。24まで生きてきて、一貫して好きな小説家って西尾維新くらいしかいないし……」
「天田さんは小説よりは漫画が好きですもんね?」
「まあ、そうだね……でも自分の表現のツールとしては、やっぱり文字なんだよね。書いていると一番しっくり来るし、」
「何より一人でできるから?」
「そうだね」
「天田さんにはどんな作家性があるんですか?」
「誰もが目を背けるような感じのものかな」
「へえ……」
「いや、そこまでかどうかはわからない……『あきらめちゃん』は好きって子がいなくもなかったしな。カゲプロの解釈も……まあ、あれは作品ではないけれど、それなりに気に入ってくれた人もいるのかもな。でもまあ、それで食ってけるほど人気になれるかは……」
「まあ、天田さんは売れっ子作家にはなれない、と。それで?」
「俺の人生を簡単にまとめるな……」
「天田さんの人生なんて一行で十分なんですよ」
「……………………」
「あ、泣いた。安い涙ですね」
「揚羽。なんで君はそう露悪的なの……」
「さあ、きっと書いている人が性格が悪いからじゃないですかね?」
「メタ的な発言をするな」
「それで? 天田さんはどんな作品を書きたいんですか?」
「多分、俺は人生的な意味で、書くことに殺されたいんだと思うんだよな」
「? それは過労死ってこと?」
「まあ、そんな感じ……根っこのところに自滅願望みたいなのがあるんだよ。だから、俺の創作性って、突き詰めていくと暗黒なんだよな。だから、自分で創作に打ち込むと疲れるし、バッドエンドになるし、俺のペースでやると皆疲れてこれ以上関わりたくなくなるんだよな」
「『あきらめちゃん』プロジェクトも頓挫しましたしね」
「ははは……結局俺は一人になるし、一人でやるしかないんだよな」
「中学校も不登校でしたもんね……小学生ではいじめられていたから、群馬から引っ越せてよかったですよね? 高校では、単位制だったのに、サボって大体ブックオフや漫喫に入り浸ってましたし、その頃から同人とか長編ノベルゲームみたいなのにも興味を持ち出して……」
「恥ずかしいからやめろ」
「父親が癌で自宅医療になった時は、高校に行かない良い口実ができましたね♪」
「やめろ……そういう面もあったことは否定しないけれど、美談を露悪で歪めるな……」
「いだきしん先生は、そんな天田さんに、父親の看病を機に医者を志すことを示唆されたりしましたけれど?」
「何か底の浅い選択肢だな、って思っちゃったよな。物語世界に毒されてい過ぎたんだろうか? そんなホームドラマみたいな、ありきたりな選択肢は俺はイヤだな~って普通に思ったぜ。俺は暗い小説を書いて、でも小説家になれるかどうかもわからなくて、それで小説を書くってことは俺にとって鬼門っていうか、生命力を削る行為だからどんどん弱っていって、最終的には死ぬんだ……」
「それが理想? でもこんなの読んだら、人はドン引きしますね?」
「そうだね……引かれるのが怖いよ。でも書いちゃってるよ。なんか電車生活をした後から、自分を出すのが怖くなったんだ。なんかここを覗いてくれてる女の子たちには『天田さん』ってある種の像ができてしまっている気がして、なんだか自分をひけらかすのが怖くなったんだ。俺なんて薄っぺらで、いじめられっ子で、本の世界にしか居場所がなくて、根暗で、社会不適合者で、天田の家系は俺が知っている限りそう遠くない世代で自殺者が二人いて、父方の近藤家は精神的に危うくて、俺も中学生の時とかはホントにヤバくて、いや多分自殺に転ぶほどにも強くはなくて、ホントにいるのかどうかすらわからないような透明人間みたいなヤツで、辛くて、消えてしまいたくて、でもなんか生きていて、この世の空気っていうのが身に馴染まなくて、友達なんてできるはずもなくて、弱くて、醜くて、合唱コンとかビデオで見返すと、俺だけなんかヘドバンみたいなのをしていて、超見苦しくて、生き恥みたいなもんで、そんなにどうしようもない俺で……俺なのに、」
「そうですね。もう24まで生きてきちゃったんですね。よしよし。何ていうか、私思うんですけど、人生の難易度って人によって違いますよね? 生まれた環境がすべてじゃないって言っても、別に普通に過ごしてりゃ友達くらいはできるよっていう人が大半じゃないですか。環境だって、いだきとか『宗教みたいなもの』が身の回りにある人って少なくて、良くも悪くも世間一般の常識に馴染んで生きていくでしょう? そういう意味では天田さんはこの世界から見れば異端な方で、さらには普通な人をバカにして生きているみたいな歪みを持っているんですよね」
「そうだよ。歪んで何が悪いんだよ。何が常識だよ。何が横並びだよ。同じようなことばっかり言ってへらへら笑っているんじゃねえよ。友達がたくさんいるのが偉いのかよ。いい成績とって、いい大学いって、いい職業に就くのが偉いのかよ。そういうのがストレートにさらっとできるなら否定しねえけど、でもさ、それはある種の枠であって、全員がそれに収まられるワケじゃないだろ? 学校の勉強だってさ、得意なヤツもいれば不得意なヤツもいるだろ? でも不得意ってことだって悪いことじゃないかもしれないじゃん? 『普通』から弾かれて、他人に危害を加えるのが楽しくて仕方ないみたいな連中から、たまに迫害されるのも才能かもしれないじゃん? 物語にのめり込むっていうか現実逃避するのだって一種の才能かもしれないじゃん? っていうかそう考えてねえと、やってらんねえんだよ! 死ね!!」
「それは誰に対して言っているんですか?」
「お前に対してだよ」
「…………」
「嘘だよ。愛しているよ揚羽(嘘だけど)。なんかネットでさ、内弁慶でさ、相手のことをバカにしていると楽しいんだよな……別にさ、価値観とか知識とかをいくら持っていても、言っている言葉の正当性って立場によって違うし、別に何を間違っているっていうことも正しいっていうこともできるのは知っているんだけどな……だって、人類の存在自体、間違いだって言うことすらできちゃうんだぜ? 人類が生み出した言語だって、金だって、社会だって、宇宙全体から見ればむしろ塵芥で、俺どころか人類そのものがただのゴミなのかもしれない……にも関わらず、偉ぶって、自然とか動物とか限りある地球資源とかを迫害しているのが人類なのかもしれないじゃないか? っていうかそうだろ?」
「あはは……天田さん、あなたがゴミだからって、あなたが一応属する『人類』ってカテゴライズそのものがゴミってことにはなりませんよ(笑)」
「ああ、そうだよな……俺が悪いんだ、世界で俺だけが悪いんだ、人類で俺だけがクソなんだ、飢餓が絶えないのも、世界で戦争が絶えないのも、この世に悪が栄えるのも、皆俺が悪いのさ……」
「いきなりスケールが広がりましたね。天田さんはそこまでスケールの大きい男ではありませんよ」
「まあ、父親がそんなことを言っていたよな。よく喧嘩する両親だったけど、父親が言うそのフレーズは嫌いではなかったかな……でもまあ、リアリティはないよな」
「厳しいですね」
「俺はさ、何らかの作品を書きたいんだよ。今書いている、書こうとしている《正義ゲーム》は、結局、主人公たちがやっていた正義の怪人討伐はただの人殺しだった、ってオチなんだけど……」
「天田さんは要するに、RPGとかでサックリ敵を倒せちゃう感性がイヤなんですよね?」
「まあ、すごく大袈裟に言うとイラク戦争なんだけどな……人は自分が正義だと思うと、相手を裁くのに躊躇しなくなるよな……」
「ネット上の天田さんみたいに?」
「そうそう……それは凄くある意味気持ち良いことなんだけれど、他人から見ればいい迷惑なことなんだ……。でも表現するっていうことは極論そういうことなんじゃないのかなあ?」
「人を幸せにする表現だってあるでしょう?」
「そりゃあそうだよ……。でもさ、ある人の作品を、小説とかを読んでさ、徹頭徹尾良かったって思うことってそんなにないだろ? どっかで自分の思考との隔たりを感じるんじゃないのかな。主張が違えば行き違いが生まれて、そこに議論が起こる――つまりはどちらが正しいのかという正当性の比較が始まるだろ? でもそこにあるのは差異だけで、もしかしたらどちらも正しいのかもしれないし、どちらも間違いっているのかもしれない……そもそも人類そのものが間違っている存在なのかもしれないのに、『どちらが正しいのか?』というどんぐりの背比べが正しいっていうのか? 人類が今日全員自殺したとしたら、それで地球は平和になるよ」
「極論ですね、そして危険思想だ……」
「そう思うだろ? でも別に俺だって毎日、人類は滅亡しろとか思ってねーよw 思ってたらただのキチガイじゃん……書くっていうのは疲れる行為でもあるから、何かが大袈裟になっていくんだよ。っていうか、相手に主張するっていう行為自体が、我の証明でもあるからな……勝ちたいって思わない人はそもそも、相手に対して主張することをしないだろ? 『どっちも間違っている』ならただのエネルギーの無駄遣いだし……」
「じゃあ、天田さんは表現すれば表現するほど、戦いが生まれると思っているんですか?」
「言語という意味で今、最も進んでるのって西洋だろ? ざっくり言って、世界の戦争の大半って西洋の侵略戦争が主因じゃん。あいつらは他人から資源を奪ったり、他国のヤツを奴隷のようにこき使うのが好きなんだよ」
「でも、西洋のインフラは日本の近代化を推し進めたでしょ?」
「まあ、そうなんだよな~。今こうして俺が便利に楽しく使っているパソコンだってアメリカ産なんだよ。でもさあ……俺が一つ思うのは『戦争に勝った国が正しい』っていうのを、今でも考えているのは野蛮人ってことだよ」
「へえ……どうしてですか? だって、皆そう信じているから、アメリカの要求を全部飲んで、私財を投げ売っているんでしょう?」
「その洗脳、根強いよな~……どうにかならないのかよ、ホント。そもそも『大学で勉強して、企業で就職して』というお決まりのコースが、ある意味奴隷として搾取されることなんだ、ということを理解している人ってどれくらいいるんだろ? まあ、そんなこと言ったところで俺も新しい生き方できてねえし、新しい世界を提示することもできないし、資本主義的な意味では敗残者だよな……学校の勉強ができる、という意味での頭の良さはそれほどなくって、何より、集団生活が致命的にニガテなんだ。俺は大学に行けなかったのは『長期的な計画に基づいた行動が取れない』とか『記憶力がよくない』とかいう理由の他に、『小中高とまともに学校に通えないくらいに集団生活ができない』っていうのが大きいんじゃないかって思うぜ。小中高とまともに行ってないし、行きたくなかったのに、にも関わらず大学受験のために長くて高度な勉強をして、それで通おうったってそもそもモチベーションが続かないだろ~。もともと、異様なほど何かに極端に向き合うっていう、他者とペースを合わせられない個人主義なところがあった俺だぜ? その俺が予備校通って、大学生活して……って、世間体を気にする自分としてはそうしたくはなっても、多分、そうするための才能が足りねえよ。もしくは、努力とか我慢が足りないのかもなあ。結局、俺は恵まれているよね? 特に努力したり、社会の荒波に揉まれなくてもこの年まで生きてこられちゃったし。親は放任主義だから勉強しろとか言わないし、いだきの講座に月一で連れて行くくらいだし」
「天田さんにとっていだきは救いにはならなかったの?」
「ならなかったね~。いや、母親には申し訳ないし、俺はもう別にいだきをそこまで批判するつもりもないんだぜ。ちょっと前までは、俺を社会常識のないとんでもないヤツにしちゃったのはいだきのせいだ~とか言っていたんだけれどな。まあ、それは当たっているところも当然あるだろうし、母親が何回も引っ越しすることで、ただでさえ対人スキルが底辺なのに、より友達も何もできたもんじゃねえ、という感じに追い込まれていったのは百パーセント間違いないだろうが……ただ、集団生活に馴染めないのは、俺の欠点であり個性でもあるからなあ……生まれついた時からこびりついたもんは仕方ないよねえ……。いだきではさ、そういう個人的な因子みたいなのを解放して、それで自由に生きられるっていうことらしいけど、俺はどうも、その個人的劣等感に向き合うことが大事なんだと思うぜ。俺は自殺したいとまで追い込まれたことはないと思うけれど(あるとしたらネット恋愛に敗れたときとか?w)、社会性を否定して、ドンドン自分の中のあるかどうかもわからない微弱な創作性に賭けちゃうところとか? ある意味、それってネガティヴだよな~、他人と協和してないよな~、ちゃんと正社員になって働けよな~って感じだけど、でもさあ、例えば、生活のために働く以外の時間で、自分がやっちゃうこと、生涯通してやろうとしちゃう好みなことって、俺は大事だと思うんだよ。書くことが、どこまで好みなのかはわからないし、最近はただ商業作を書き写すばっかりで、自分の好みを追えているの? っていう面もあったけれど」
「こうやって、読者に読みにくい真っ黒な画面を作ることが、天田さんの創作性(笑)ですかw」
「まあ、そうだよな。自分が好きでやっているとか、自分から純粋に出てきたものなんだ~っていう感覚が最も大事なんじゃないか? 人にどう見られるかとか、最初から人に読まれる体裁を気にしていたら、俺はそこまで書けないよ~」
「その程度の創作力ってことですね」
「まあね。でもまあ、才能とか環境とか努力とかで、小説を書きまくる人もいれば、そもそも長編小説クラスの文章なんて一生に一度も書くことがない人だっているだろ? 人それぞれだよ……自分が与えられた、魂とか環境とか才能とか、その中でどれだけ足掻けるか、ってことなんじゃないか? 例えばさ、絵を描きたいとしたら、滅茶苦茶下手でもいいし、他人に見せなくてもいいし、何でもいいから一生描くんだよ。一生下手なままでも描く時間を取るのが大事なんだよ。人生の意味っていうのは人の評価じゃなくて、自分の行動の選択なんだよ。人から間違っていると糾弾されたっていいし、常識から外れたっていいんだよ」
「むしろ、人から間違っていると思われることをすること、常識から外れることこそが天田さんがしたいことなんですかね?」
「まあ、人に迷惑かけちゃダメだけどな~。でも、書き物しまくっている頃、ミスしまくって辛くって、精神の安定を図るために電車に乗りまくって、書くことを辞めていったけれど、書きまくっていると現実ではミスりまくるダメ人間になるのかもね?」
「そういやあ、もっと前に自作書いているような時もバイトではあまりに使えなくて辞めさせられるまでありましたよね」
「そうだね……でも俺は人に迷惑をかけることは凄く嫌うし、大体他人よりも自分が悪いって思い込む性格だけど……ある意味仕方ないじゃん、って思うこともあるよな……」
「開き直っちゃうワケですか」
「うーん……例えばだけどさ、ネガティヴなことってその人だけのせいなのかよ~って思うことって多い。なんか日本人ってやたら格好の美醜を気にしない? 俺は自分の顔は……そんなに悪くないとか思っちゃってるけどw (「でもコミュ症だから全ての意味でダメです」と揚羽は言った) でも例えば凄く不細工に生まれるのってその人の責任なのかな……その人が悪いのかな……。そういう時に『ブスは黙ってろや』みたいなことを言えちゃう人って人間的にどうかと思うんだよね。人間、どこに生まれたかとかじゃないだろ? 何をして生きてきたかじゃん……俺だって、誰かと付き合うとしたら可愛い子、とか思っちゃうのかもしれないけど、そういうことじゃねえよなあ……」
「ちなみに私って可愛いんですか?」
「お前はセリフだけの存在だ――ビジュアルはない」
「(がーん……)」
「とにかくさ……例えば学歴とかって、親が金持ちかどうかで決まるとかよく言うじゃん」
「言うみたいですね。まず、いい環境を用意できるかが問題で……塾関係を充実させていくと、際限なくお金ってかかりますし」
「それで今って、お金がないと結婚もできないし、子供も作れないみたいな風潮あるじゃん。しかも40パーセントは年収300万以下らしいじゃ~ん」
「天田さんも当然そこに含まれますね。や~い、非正規雇用者~」
「あはは(殺すぞ)」
「天田さんって結局、学歴コンプレックスとか職歴コンプレックスを捨てられないですよね? 根が深~い」
「でも、他者と比較したコンプレックスのために人生を過ごすのもな~。まあ、開き直りの方法からは自殺に着想を得たよねw」
「わ~い、ネガティヴ♪」
「何歳で死んでもいいと考えれば、別に自由じゃんか? 全てが。例え、ずっとフリーターだとしても30歳くらいまでは生きられるだろ? それ以降は別に『死ぬ時は死ぬ』って思っていれば……それでいいじゃん。あとは、フリーターとか非正規雇用って年食うとすげえ見下されるのかな? って思うんだけど、今俺が週四で働いて月十五万くらい、年に百八十万くらいか? 三百万以下どころか二百万以下だけどさ(笑) でも、仕事内容って正社員の方が特別に偉いってことなのかなあ……。バイトで先輩とかがさ、店長とか、店を管理する側の人間が、あまりレジ打ちをしないって愚痴るんだけど……つまり『仕事の大変さ』とかで言えば、まあ、末端と言えば末端の、レジ業務とかの方が大変なんじゃないか? 勿論、商品開発とか商品の営業とかの方が、仕事としては高度なのかもしれないけれど……色々な職業に就いている、色々な人がいるっていうことだけじゃないのか? 高校生でもできるからコンビニバイトは意味がないんだろうか? でもレジ打ちがいなかったら百パーセントコンビニって回らないんだが? バイトでも一応レジ打ちが優先される形になるんだが? って思うと、結局さ、ホワイトカラー的な、主に頭脳労働をするヤツらの方が偉いって構図って、なんか違うんじゃないかなーと思っていて。そういえば、これも西洋から入ってきた価値観かもな~。昔には、団子屋より武士が偉いとか、そんなのがあったんだろうか……花魁とか、ある意味風俗業を営む人間に貢ぐために、男は頑張ったりしてたワケだし、まあ職業選択の自由はなかったのかもしれないし、今よりは生きるのがハードというのはあるんだろうが、でも『その人はその職業なんだ』じゃ、なぜいけないんだ? 例えば、増え過ぎた人口の中で、皆がそういう暮らしをしたら困るだろうけれど、地方の人口が減っているっていうんなら田舎の森にでも住んで、生っている果物とかを食いながら、絵でも描いて生活したらなぜいけないんだ? 給料をもらって、金を得ないと生活できないと思い込んでいるのが、もっとも強い思い込みじゃないか? それで生涯ずっと生きていられると思うのも……まあ、レアなケースかもしれないが、親父みたいに急に癌になることだってあるし、最近多い災害とかに巻き込まれる可能性だってあるんだぜ。脅すワケじゃないけど、東北~関東って、放射線汚染がかなり酷いから、これからチェルノブイリみたいに致死率が上がっていっちゃうかもしれないんだぜ。いつ死ぬかなんて誰にもわからないだろ? 『だったら社会のことをまったく考えないで、好き勝手に生きたらいいじゃ~ん』っていうのも、ちょっと放埒的過ぎるけど……。結局、『金稼いで生きる』という価値観が浸透し過ぎているんだよなあ……俺もその価値観に飲み込まれ過ぎているのかな……。でも別に自分の食う分だけでもちゃんと食い物作ってさ、衣類も自分で編めるとか、家も自分で建てられるとか!w まあそこまで自律的に生きられたら、どんな環境でも別に生きられるのかもしれんぜ(笑) 職業が分化し過ぎちゃって、自分の職業のこと以外はほとんど何もできない、みたいな人が増え過ぎちゃったのかな……。俺が思うのは、社会に馴染める人は馴染んだらいいと思うんだけれど、そうできない人がどうやって生き方を模索したらいいのかなということで……結局、どんな生き方でも死ぬまで生きるというだけなんだから、ちょっとレールから外れてみるのもアリなんじゃなかろうか……怖いし、理解もされにくいけどな~」
「ずっと天田さんばかりが喋っていますね、揚羽要らない子……」
「ああ、要らない子」
「」
「はは……俺って性格わりぃ……」
「」
「なんとなく罪悪感……」
「自分の考えるセリフだけのなんちゃって空想キャラに感情移入する天田さんってオタクで気持ち悪いですよね」
「そうだね」
「素直……」
「話は逸れるけど、俺は創作の中で、例えば揚羽みたいなキャラをテーマにしたい。空想の中の存在。いると思ってたら実は架空の存在に過ぎなかったとか、そういう存在を犯罪的に殺したりだとか……」
「つまり私を自殺に追い込んだり、ぐちゃぐちゃに刺し殺したり、《自主規制》したり、《自主規制》したり、《自主規制》したりするつもりですか?!」
「まあ、そんなところだよ……俺の黒々とした欲望を受けるといいぜ……」
「…………(揚羽だったモノ)」
「なんかこういう暗黒衝動を作品にぶつけられたらいいなあ……とか思ったんだよな。かなしみホッチキスさんの『タオルケットをもう一度』の関連情報とかを見ていて。興味がある方はぜひプレイしてください。精神病の人が作っているというのが俺的にポイント!」
「…………(揚羽だったモノ)」
「え、なになに? そこはセールスポイントじゃないって? 何言っているの、揚羽。そこが一番のポイントじゃないか~!」
「…………(揚羽だったモノ)」
「ああ、虚しくなってきたな。寂しくなってきたな。一人で喋るのって寂しいな。やっぱり相方がいないとな」
「……はあ~。まあいいですけど、年頃の女の子に×××したり、○○○したり、△△△したりするのはよくないですよ? 非実在青少年!」
「非実在性少女?」
「なんてハレンチな空耳なの! っていうかわざとですよね!」
「はい」
「素直!」
「俺の暗黒衝動は置いておいて、この記事で書いたような『未成年の主張』めいたものを書くのも俺には大事なのかな、って」
「童顔だからってもう未成年じゃないでしょ? 天田さんが普通に大学に行っていたとしたら、もう新入社員二年目の年齢ですよ!」
「ああ……グサグサくるう……」
「ハートブレイク♡揚羽です!」
「魔法少女っぽく言うな……」
「魔法少女っぽいってなに? なんだかグダグダですね」
「うーんなんていうか、最近はとにかく我慢してでもなんでもさ、自分が書きたいとかどうとかじゃなくて、別にやりたくなくてもなんでもいいから、商業作品の書き写しをしてりゃあいいんじゃないか、とか思ってたんだけど……」
「書きたいものを書けばいいじゃないですか! どうせ売れないんだし(爆)」
「やめろ、言霊が宿る……」
「いやあ、ネガティヴな言葉を言うから実現できないとか、そんな甘っちょろいことを信じているんですか?! 天田さん! いやいやふざけないでくださいよ(笑) 」
「まあ、小説家になるためには、それだけの知識を得た上で万人受けする物語を書けばいいだけの話なんだよな……」
「それがどれだけの難易度かって話なんですよ! 読者にはそれがわからんのです!」
「いや、マジで思うんだけどさ、あまりにも作家を売れるか売れないかで裁く人は、自分で同人マンガ描くでも、小説書くでもやってみろよ……そうしたら、どんな作品でもかなり苦労した上で、創られているっていうのがわかるぜ。日本人って、同調圧力で誹謗中傷する時に何を言ってもいいとか思ってるからさ。どんなにつまらないクソ作品でも、それはめちゃくちゃ苦労をかけて作られた作品なのかもしれないんだぜ……」
「おやあ? 醜い自己弁護ですか? 面白いものは面白い! つまらないものはつまらないじゃですか!」
「うっせえ、×すぞこの×××……」
「天田さん暗黒ゥ! ああカッコ悪い(笑)」
「面白さっていうのは相対的なものじゃねえんだよ……少年マンガと少女マンガがまるで違う面白さを持っているのに、売り上げだけで『それが面白さの比較になるんだ!』みたいなことはできないだろ……全然表現手法とか内容とか違うぞ。まずはそこを見ようぜ……売り上げじゃなくて、その作品が語りたいこととか、テーマとか、主張とか、そこに透けて見える作者の姿勢とかを見ようぜ」
「天田さんは作者に優しいんですね?」
「いや、俺だって面白いモノは面白い、つまらないモノはつまらないって思うし、ランキングによって面白いモノが見つけられる可能性だって否定はしないよ……でも、掘り出しモノのマンガが全然アマゾンランキング低くても、メジャー作品より面白いってことは多いぜ。最近で言えば、『タオルケットをもう一度』とか『東京大学物語』とかはそうだったな……。そもそも売れるものは新商品が多いだろ? でも、昔のものと今のものを比較して、今のものが絶対に面白いかって言えば、そうじゃないよね……明らかに時代による差異があるよね」
「ふーん……主張に対して、私の反応をうまく書けないのが、天田さんがぼっちっぽいところですよね~w 独り語りの方が好きみたいな感じ」
「まあな。自然な会話が書けないから、小説を自然に進行させることができないのだ……それは置いておいて。あと、ランキング至上主義だと世界が狭くなるよな。アマゾンランキングで100位までのマンガを全部読んだくらいじゃ、面白いマンガの全容はわからんだろ~w せめて、本屋に行って、平台とか棚のマンガをチェックしてみて、それで面白そうなのは買って読んでみるとか。あとはレンタルマンガとかも便利だし……」
「まあ、それは天田さんみたいに時間に余裕のあるダメダメフリーターさんはそうしたらいいとは思いますけど……」
「にわかとか言うけれどさ、やっぱりディープな興味を持った方が面白さは増すというのは思うよな。俺はやっぱり、ずっと物語っていうのは追ってきてるよ。言葉で表現される物語かな……。漫画で言えばセリフ、ストーリー。アニメなら脚本……。
 まあ、小説、特にライトノベルは範囲が狭い気がしちゃって、ジャンルの自由さという意味では漫画の方が好きだが……俺はゲームでも、ネットでシナリオだけ見ちゃったりするもんねw で、ネタバレはあまり気にしない……色々なパターンを見たいんだ。その中で、俺の創作は特殊な方向ではあるけれど、でも見たことのないものを書きたいっていう欲求は、強くあるんだ」
「そのせいでベタな人に共感される王道が書けないんですよね。そして、人の目が気になるからなかなか書き出せない」
「その意味ではさ、こうやって好き勝手にネットに書き散らすのもいいことなんじゃないか、って思うんだ。長編小説の自作は進まないけれど……やっぱり自分で好きに書くことって、好みを反映するし、単純に楽しいし、時を忘れるから……」
「結局、天田さんにとっては、書くことって仕事と趣味の中間にあるものだと思うんですよね。書くという行為そのものが、ある意味天田さんにとってはかなり生命がけの自己分析から始まったというのもありますし……だからどうしても個人的なものになるし、最終的には小説よりも自分語りの方が好きなんですよね」
「そうなんだよな~……こうして久しぶりに自分で長文を書いてみて余計にそう思ったよ。由さんとかは果たして読みきれるのか?!」
「読み切れないに一票!」
「……って書いておくと、もし読みきった場合に、何かコメントをしてくれるかもしれない……」
「↑と浅はかに予防線を張る天田晃司なのでした。今日もこんな男でごめんなさいね♪ てへぺろ♪」

「「ではでは~」」