TIPS0.日常と非日常 | 墜落症候群

墜落症候群

墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 僕が好きだった女の子は目の前で言った。

「私は燃焼系の魔法少女よ」

 物静かな彼女は呟く。

「人に死を与える天使――それが私」

 饒舌な彼は頭を指しながらこう言う。

「別に能力なんかじゃない。ただ、まあ頭が良過ぎた、それだけのことさ」

 そして、殺人者はまるで世間話みたいに僕に告げる。

「俺は死という概念そのものなんだ。概念ってわかる? つまり俺こそが死、そのもの」

 つまり、僕が日常だと思っていたものは、全然日常じゃなかったらしいってことだ。