ガルボ・姫学編。1日目。その2。 | 墜落症候群

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墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 ガルボ・姫学編。1日目。その2。

 さて続き続き。
 我が姫百合山女学院は、緩やかな山あいの立地です。舗装はされているのですが上り坂ではあるので、生徒は基本的に歩きで登校します。
 ああ。最近弱虫ペダルっていう漫画を読んだんですけれど、あの主人公、小野田坂道くんならば、確かに優れたケイデンス(自転車のペダルの回転速度)をもってして、こんな登り坂なんてきっと登ってしまうのでしょう。
 しかし、姫学(めんどくさいのでこう略称しましょうw)の生徒たちは可憐で、おしとやかなのです。もっと砕けた言い方をすれば根性なしなのです。
 女の子に努力と根性は似合いません。
 なので取りあえず、私も優雅に送迎の爺やのリムジンで送り迎えを……流石にしてもらえる家計事情ではないので、普通に歩いて登校しているのでした(笑)
 さて。
 今日の本題。
 校門まではいつも通りの、始業時間に少しだけしか余裕がないような、弛緩した空気感での登校だったのですが、校門に来て、いつもとは違うことが起こりました。
 いや……私の目の前で、女の子が転んだんですよねw ええ。まあスッテーンって感じで。
 アニメでもあんなに綺麗にコケないのではないか、というくらいにそれは綺麗な転びっぷりで、その子が着ていたのはスカートだったので……まあ下着は見えましたよ。物語上必要かどうかわからない謎パンチラ……ちなみに私は百合ではありませんレズではありません。
「ふうん、下着ですね」
 とクールに呟きました……いやいやまあ呟いている時点で、全然クールじゃないんですけどね!w まあね……いや、転ぶという、とてもありふれた、何の事件性もない出来事でもリアルに起こると結構ビックリするものだなあ、と私は感じました。
 何となく流れでその生徒に手を貸してあげます。
 鮮やかな茶色の、短い髪の女の子でした。どことなくボーイッシュな感じの女の子です。全開って感じの笑みで「ありがとうね!」と勢いよく言いました。一瞬でちょっと圧倒される私……。
「私の名前は上村明日耶! 初めまして、だね!」
 初対面の相手にいきなり自己紹介をするだと……! そんな漫画の主人公みたいなことを……!
「あ、……私は、彩色甘夏、っていいます……。すいません」
 ついつい、謝ってしまいました。別に悪いことをしていないのに、取りあえず「すいません」と言っておけば許されるんじゃないか? というような、愛すべき日本の風習であります。
「うん……甘夏ちゃんか! よろしくね!」
 うーん。いきなり下の名前でタメ口って感じなのか……いやまあいいんですけれどね。悪い子って感じはしませんし。
 上村さんは全力ダッシュで校舎へとダッシュしていきました。
 その勢いを呆然と見送り、ひらひらと手を振っている間に、当然時間が経過しています。
 腕時計を確認し、私は声にならない短い叫びをあげます。
 ……おかげでなんとか教室に滑り込みダッシュでしたよ! 明日耶さんめ!