揚羽ツッコミ漫才 | 墜落症候群

墜落症候群

墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 もう大体吐き気が止まらないので俺はひどい気分だ。
 世界から取り残されている気がした。何故、俺のブログはアメーバでトップを取れないのだろうか? 毎日コメントが1000件を越えないのだろうか?
 天田は何故こんなにも世界に認められないのか……ひどい気分だ。
 吐き気がした。
 吐いたらどうなるか? 多分ヘブンに行ける。
 ヘブンっていうのは直訳で言うと、天国だけれど、この場合意味が違って、要するに俺の都合の良い夢世界だ。
 ……というのを信じて、吐いていた時期もあった。
 しかし、ヘブンの存在こそが俺に都合の良い幻想に過ぎなかった。
 そんな苦い思い出を思い出す22歳の11月2日です。
 皆さんはいかがお過ごしですか?
 何かもう皆して俺をいじめるのはやめたらどうなんですかね……。
 もっと俺を愛護すべきだと思いませんか? この可哀想な生物を……。
 というか、貢いでください!
 アクセス数を貢げよ!
 このブログを精神的なストーカーの対象にすればいいだろ!
 上から下まで舐め回すように見ればいいだろ! 繰り返し音読すればいいだろう!
 ひどい仕打ちだ……僕はこんなに頑張っている(つもり)なのに、どうして神様は僕に幸運を与えないのか……今日も、練馬は雨です(嘘です)。
 さてはて!
 ところで、今日、5歳の天田晃司がわたあめを舐めていましてね、その手を37歳の天田晃司が引いていたんですが、いやはやその天田晃司は理想の親子でしたね!
 ひょっとしたら超・歳の差カップルだったのかもしれませんが、何せ、天田晃司には謎なところがありますから、実際の真偽の程は不明です。
「天田さん、とうとう壊れたか……」
「沫夏?」
「いやいやいや揚羽です」
「揚げコロッケか……今、胃がもたれているんでパスで」
「いやいや揚羽ですから!!!」
「んで喋るちょうちょが俺に何の用だい?」
「はあ……天田さんは私に嫌われたいんですか?」
「俺の言うことはまあ8割ネタと思ってくれていいよ。そうじゃないと噛み合わないぜ?」
「何かもう、天田さんと噛み合ってきた時なんて、ないような気がしてきたんですが。
 あなたは所詮、そうやって一人で自己完結して、寂しい世界に独りぼっちで生きていくしかないんですかね……」
「そんな寂しいことを言うなよ」
「さよなら」
「吐きそう」
「はいはい……私には現実の身体はないんですから。背中をさすってあげることすらできませんけどね。早く良い彼女さんでも見つけてくださいよ」
「おや。揚羽がそんなこと言うなんて意外だな」
「どうでもいいけど、次に揚げコロッケって呼んだら殺しますよ?」
「……はいはい」
「はいは一回!」
「はいはいはいはいはいはいはいはい! あー、楽しくなってきちゃったな!w くはは」
「じゃあ次からはいは56回で!」
「……え? 何言ってんの? ヤだよ」
「あーもうこのクソ男、殺してえ……」
「ええ? 愛してるだって? 困っちゃうなあ……俺には心を決めた人が……」
「いるんですか?」
「いるよ。嘘だよ」
「その流れるように嘘を吐くくせは何とかならないんですか? なんていうかしゃべりづらいんですけど」
「知らねえし。もううんざりだよ。吐きたいよ」
「風邪気味ですねえ」
「そうそう。それなのに世界が、皆が俺に優しくないからさあ。もうほんと、ほとほとうんざりだね。
 何か日替わりで抱きまくら役の女の子に現れて欲しい気分」
「天田さんのロリコン~」
「何か体温が高くて気持よさそうだからさ……」
「真顔で続けるし?!
 ちょっと……このヘンタイ」
「もっと言ってもらっていいですか?!」
「はあ……このノリに付き合っていくのは疲れるなあ」
「君が疲れたら俺に付き合える人が存在しなくなっちゃうんじゃないの?
 なんか今日、矢鳥にすら若干呆れられていた風だったんだけれど。
 彼とは洞窟で温めあったあの日、決してお互いのどんな姿を見ても、ドン引きしないって約束した仲なのになあ……」
「そんなファンタジックなシチュエーションがリアルであってたまるか!」
「勿論ホントだよ。……あ、間違えた嘘だよ。
 っていうかね、嘘でもホントでもどっちでもいいじゃないか。小説家っていうのは要するに嘘つきの総称なんだからね」
「まあそれは否定しきれませんが……あくまで天田さんってパーソナルに向き合っている時に嘘を吐かれるとそれはそれで困ると思うんですが……」
「誰が困るっていうのさ? っていうか、俺以外の全人類なんて滅びればいいんだ」
「滅んだらどうするつもりですか?」
「俺も後を追うよ。寂しいもん」
「傍迷惑な恐怖の大王だな!」
「知ってる? 恐怖の大王って、降ってくるんだぜ……」
「もう、天田さんったら降ってくるのは恐怖の大王じゃなくて、ノストラダムスでしょ?!」
「……何言ってんの? 揚羽」
「い、いや間違えただけですし」
「ノストラダムスが降ってきてどうすんだよ……」
「ノストラダムスが雨あられと降ってきたら、世界滅びますよね……」
「何人いるんだよ……」
「うわあ! 天田さんに呆れられると凄いムカつくなあ!」
「ムカついてろよ……」
「なんなんですか! ダウナーですか! 三点リーダー適当に二個打っとけば、ニヒルに見えるとか完全に勘違いなんだからね!」
「なんだからね、って言っておけばツンデレに見えるなんて、そんなことある訳ないんだからねっ!」
「もうどんな会話なんですか、これ……」
「どんなって? こんな」
「うぜえ……」
「揚羽、口調口調」
「うざいですってわ」
「なんか変なことになってる……」
「もう天田さんなんて知らないんですってわ」
「何か、無理に続けられるとそれはそれで違和感が漂うよね……」
「ですってわですってわ」
「ですってわうるせええ……! 揚羽なんてチワワにでもなってろよ!」
「えぇ?! どういう繋がりですか……?」
「お前、ですってわって発声してみ? ほら何回か繰り返す内にチワワって聞こえ……聞こえねえじゃねえか! 騙されたよおい!」
「自己完結するなよ! なんなんだよ、もう……」
「揚羽、口調が男になってるよ」
「っていうか、もう男ですし。私、初めから男ですし。私が男って知らないの、もう天田さんくらいだったんですし!」
「そ、そうだったのか……まさかのホモ……。
 うわぁ、ときめくわ」
「そこは引いとけよ!」
「揚羽、完全に口調が男になってる」
「う、うっさいなあ! 女だよ、ちくしょーめ!」
「もう性別揚羽とか言っておけよ……」
「何かその男の娘のパロディみたいな性別やめてよ!」
「一々エクストラメーションマークを付ければ元気っ娘を名乗れると考えている、そのお前の甘い幻想を、この俺様がブチ殺す!」
「うっせえよ! 不可抗力ですよ! いい加減うっざいなあ……!」
「まあまあ、落ち着けよ……どうどう」
「ちょ、ちょっと?! 背中をなでないでくださぁいっ……くっ、セクハラですよセクハラ!」
「どうせ揚羽なんて非実在性少女なんだからもう何も気にするなよ」
「青少年を文字って青少女って言いたかったんだろうけど、その漢字のご変換ひどいですよっ?!」
「実はこれで合ってるんだけど?」
「※ただし性的な意味で、みたいなっ?!」
「揚羽はおいしくいただかれました」
「何かもう過去形になってるし……」
「過去の女・揚羽」
「じゃあ、あんたの目の前で今現在しゃべっている女の子は誰だよ!」
「いやあ、楽しいねえ……」
「ちっとも楽しくないですわ!」
「あれ、新キャラ?」
「ちっとも楽しくないですわん」
「ああ……ちわわんこか。はいはい」
「何その既存キャラが出て来て乙みたいなリアクションは?!」
「だって……ちわわんこはちわわんこですもん……それ以外の何者でもないですわん」
「なんか感染ってるし……」
「感染拡大」
「もう知らねえよ……」
「ちょっと、ちょっと揚羽……」
「何ですか?」
「このハイテンションな会話疲れるな」
「お前が言うなよ!」