音楽について。 | 墜落症候群

墜落症候群

墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 俺が何となく気になってるのは、音楽についての事だ。
 アメリカイギリスとか、西の方では流行ってるけど、残念ながら、日本での音楽での風当たりは、かなり厳しいと言わざるを得ない。

 まあ、国それぞれで色々な事情を抱えているとはいえ、今経済成長率が一位なのはアメリカだ。
 だから、アメリカに学ぶ事は多々あると思うし、実際、日本で一番盛んな外国語教育はアメリカだ。

 アメリカが重視している事、それは例えば、喋る事、本を読む事、食事の量をたんまり食う事、
 後は音楽だ。後、スポーツかな。
 つまり、俺がやってやるぜ、というような、アウトプットが重視される国柄だ。
 そして、色々な民族が一緒に暮らして混ざり合って、まるで複層的な味のスープみたいだ。

 音楽の事に話を戻そう。
 音楽っていうのは、基本的に何で構成されているのか?
 結局、俺はメインは音なんだと思う。
 一応、歌詞ってのもあるにはあるんだけど、歌詞っていうのは言葉数が限られ過ぎているし、
 それに、音の数等で、文字数が決められてしまう、という大きな枠組みがある。
 その中でベストマッチな言葉を探す、というのが歌詞作りの醍醐味だろうし、それで良いが、
 言語表現としては、やはり「文字だけ」の詩や小説、文章、という方が優れている気がする。
 ただ、話し言葉というのは、あるライブ感というか、表現の速さが、思考速度に近い、という利点はある。あるけれども、それでも、インプットにおいては、文字を読む方が喋る速度よりは基本的に早いだろう。
 インプット重視、書き文字。アウトプット重視、話し言葉。
 という関係性が見られる。

 だが、このアウトプット高速性も、音楽には有用ではない。
 何故なら、基本的に音の数や、流れで、言葉の数が決められてしまっているからだ。
 言葉の数を意図的に増やしまくった音楽も可能だろうが、それはどちらかというと前衛的な作品という事になるだろう。

 僕が今言っているのは、例えばOASISのような(丁度今、OASISのインタビュー集のような物を読んでいる影響もあって)、そういった音楽についての事である。

 音楽とは、音とは、つまりどんな物か?
 これは一音、という事にフォーカスすると単純だ。
 ある音の高さと長さ。それだけの事である。
 ピアノをポン、と鳴らす。鍵に応じて、その高さの音が出る。鍵を押している長さに伴って、
 音の長さが決まる。つまり、一番単純な音、というのはこういう事になる。
 後、大きさ、という点もあるだろうが、これは加減の問題だろう。
 楽譜に乗る音符レベルでは、基本的に高さと長さだけだ。これに強弱記号が付く。

 音楽とは、こういった、違う長さ、違う高さの音をどのように組み合わせるか、という、
 いわば、パターンによる物だとも言える。
 まず、ある音符を見ると、どんな音が出るか。それをちゃんと確認する場所、というのが必要になる。
 ピアノがあれば良いし、ギターでも良いだろう。パソコンがあるならば、シーケンスソフトでも良いかもしれない。
 つまり、ドの音を出す。ドの音はこれだ、という確認である。
 もっと行くと、その確認をしなくても、ドの音はこういう音、というのが分かる。

 逆に、これは高度だから、出来る人と出来ない人がいるだろうが、ある音楽を聞いた時、
 この音楽を、音符、つまり、音の高さと音の長さによる組み合わせに直す、という作業も必要となるだろう。
 例えば、あるバンドの演奏をCDで聞いたとする。それを一度音符に直して、更に、その音符を弾く事で、あるバンドの演奏を自分の家で再現出来る。
 こういった耳コピーが出来ない場合は、楽譜を買えば良い。音符から、音を奏でる、という技術さえ身に付けていれば、それで音楽になる。

 さて、音符だけをじっと眺めてみても、それは音にはならない。
 音符の組み合わせを作ったら、それが実際にどんな音か、確かめてみなければいけないだろうし、
 音符⇔音というこの繰り返しの確認作業の果てに、良い音楽というのはおそらく出来上がる。
 さて、音符から、音を出す、というのにも、それはそれでそれなりの習熟が必要になる。
 音符が読めるならば、ゆっくりならば、その曲の再現は不可能ではないだろう。
 しかし、楽曲を演奏する場合、音から音への移動はかなり速く行わないといけない。
 そうしないと、ある音の連続に聞こえないし、音楽というよりも、ただ一音一音だけが鳴っているだけ、という状態になってしまうだろう。
 この音を連続で早く演奏する、という事に習熟が必要なのは、例えば、一番音の再現が容易で、多彩な音を弾きやすいのはピアノだろうが、ピアノでも、ちゃんとどの鍵盤を叩けば、どの音が出るか、という点について、一々確認せずとも、理解していないといけない事に加え、例えば、楽譜を見ながらやるとすれば、鍵盤はブラインドタッチのように叩かないといけないだろう。
 ただし、その場合、鍵盤の数は限られている為に、パソコンより覚えなくてはいけない事は少ない筈だ。
 音が離れている場合は、手の移動が大きくなる、という事はあるだろうが。

 パソコンで文字を打つよりはおそらく単純な作業であろう。後は、この鍵盤を打つ、という作業に慣れるだけである。
 ただし、この楽器についても、日本で家に鍵盤がある家は珍しいだろうから、何らかの代用が必要になる。音が確認出来るならば、別に、シーケンスソフトでも良いが、実際に演奏するならば、簡易的な物でも構わないから、実際の鍵盤の形が必要だろう。

 以上が、音楽の基本だと思う。
 そして、俺が理解する限りだと、バンドに使う楽器には、こんな種類がある。
 ギター。これは鳴る音が格好良いし、見た目もクールだ。ライブ曲には好んで使われる。
 コードという物と音という物を同時に奏でる必要がある。
 シンセサイザ。音色が選べるピアノだ。ピアノと変わらない。例えば、フォントを選べるような物だろう。
 ベース。低音で、比較的シンプルなコード等を奏でる。これがある事によって、おそらくバンド全体に芯が加えられるのだろう。
 ドラム。これは音楽というより、リズム楽器だ。ある特定のリズム、ビートのパターンを、数種類の太鼓とシンバルによって、叩き分ける。
 後はシンガー。人間の最も単純な意味での、音楽だ。
 音色としては、その人間の声の個性に左右される。音の高さ、長さに加えて、その音に縛られ、限られた意味での言葉、歌詞が加わる事になる。

 音楽は色々な楽器で奏でる事が出来るし、実際に楽器の演奏には習熟する必要がある。
 これはスタミナもいる事だし、どちらかと言うと、スポーツのような側面もあると思う。
 しかし、音楽で最も重要な一要素は、楽譜を書けるか、つまり、そもそもそれぞれの楽器で、
 どんな音を奏でるか、という音の連なりを発想出来るか、という点に限られる。
 この音の連なりは、全く自分勝手に考えれば良いという物ではない。

 これまでに数多の音楽が奏でられ、以上に挙げたバンド音楽以外にも、様々なメロディーが奏でられてきた。
 これらの音は、様々な音、様々なパターンで奏でられてきたが、逆に言えば、それによりある面では固定され、決められているお約束みたいな物もある。
 まず、このお約束を理解する為に、しごく簡単な短い曲から、長い曲、そして、バンドのようないくつもの楽器が使われているような楽譜を読んで、その音の連なりのパターンを理解する事である。
 また、そのパターン自体を解説している本、コードについての本等もあるので、それによって、ある程度、音の組み合わせを決めてみる事も出来る。
 コピーと、オリジナルの音の組み合わせを、順繰りに繰り返して、また、自作の音楽の中でも、
 ある音の組み合わせを取り入れて(完全にコピーしたらパクリだが、例えば、コードの組み合わせについては、ある人気パターン等もあるので)、一つの、一曲の音楽を、作っていくという訳である。

 ベストの音の組み合わせ、楽器が多数あるならば、それが調和する、より刺激的になるパターンの組み合わせを探求し、実際に音にし、また、楽譜自体を変更する。

 そうした、楽譜⇔音の繰り返しの中で、多分、音楽は成長していくのだと思う。