1970年に上京した ≪吉田拓郎≫ さんは、【エレックレコード】に就職して社員となります。そして1970年11月1日、【エレックレコード】からデビューアルバム【青春の詩】が発売されました。
広島フォーク村の《古い船を…》が発売されてから5か月後の事です。
≪吉田拓郎≫ さんは1972年1月に【CBSソニー】へ移籍するまでの、エレックレコード在籍の時代に《古い船を…》を入れて6枚のアルバムがリリースされました。《古い船を…》のほか、スタジオ収録が2枚、コンサートライブが2枚、ベストが1枚です。
前回コンサートアルバムとオムニバスアルバムをご紹介しましたので、今回はスタジオ収録のアルバムとベストアルバムをご紹介します。
この頃のお名前は、まだ ≪よしだたくろう≫ と、ひらがなでした。今も私のイメージはひらがなのお名前です。1975年に【フォーライフレコード】を設立た時に ≪吉田拓郎≫ と改名されたそうです。
青春の詩
1970年11月 1日 エレックレコード 価格 1700円
デビューアルバムです。たくろうさん独特の表現とは違い曲調がリズミカルで、何だかジャズ風の
アレンジが多いような感じです。
友人が私の知らない他の友人から借りていたので、私はまた借りしてカセットテープに採りました。ライブアルバムから入った私は、高校生の頃には何となくしっくりこないような感じでした。
しかし名曲揃いで、《イメージの詩》《青春の詩》《こうき心》《今日までそして明日から》あたりはよく聞いていてギターの練習をしていました。どの曲もこのアルバムのバージョンが好きでした。
友人からギターを習い始めて、スリーフィンガーが好きだった私は《兄ちゃんが赤くなった》を聴き込んでアルペジオを練習して歌っていたものです。全23ページの歌詞と楽譜の冊子が付属品として入っていて、ジャケットはダブルジャケットです。
A面 1.青春の詩 2.とっぽい男のバラード
3.やせっぽちのブルース 4.のら犬のブルース
5.男の子・女の子(灰色の世界Ⅱ) 6.兄ちゃんが赤くなった
B面 1.雪 2.灰色の世界 Ⅰ
3.こうき心 4.今日までそして明日から
5.イメージの詩
人間なんて
1971年11月20日 エレックレコード 価格 1900円
友人が持っていて中学3年の頃よく聴いていました。名曲揃いで今では好きな曲が多いのですが、当時の私は《オンステージ Ⅱ》と《元気です》に聴いていた曲が偏っていた時代です。
このアルバムには大判で全12ページの楽譜と歌詞の冊子が入れられ、ジャケットはダブルジャケットです。こちらの帯は青色地で、(大ヒット!! ”結婚しようよ”)と書かれています。はっきり分かりませんが、初版の帯は黄緑色で、(よしだたくろう LP 第3集)と書かれていると思います。
当時から収録曲の《花嫁になる君に》は大好きな曲のひとつです。早いアルペジオを習得してよく歌っていました。今でも《静》と並んで好きな曲です。収録された〈人間なんて〉がオトナしいなと、〚オンステージⅡ〛を聴いていた私と友人で話していた事が思い出されます。
A面 1.人間なんて 2.結婚しようよ
3.ある雨の日の情景 4.ワシらのフォーク村
5.自殺の詩 6.花嫁になる君に
7.たくろうチャン
B面 1.どうしてこんなに悲しいんだろ 2.笑えさとりし人よ
3.やっと気づいて 4.川の流れの如く
5.ふるさと
たくろう ベストコレクション
1975年 1月25日 エレックレコード 価格 3800円
2枚組のベストアルバムです。1972年1月に ≪吉田拓郎≫ さんは【CBSソニー】に移籍していて、3年後の1975年1月に発売されています。大判1枚の歌詞カードが付属しています。
この時にも権利がまだ【エレックレコード】にあった事に驚きました。【CBSソニー】では発売されていない、すでに廃盤になっている《オンステージ Ⅱ》の音源が7曲収録されています。
A面 1.青春の詩 2.やせっぽちのブルース
3.今日までそして明日から 4.ワシらのフォーク村
5.雪 6.こうき心
B面 1.結婚しようよ 2.ある雨の日の情景
3.自殺の詩 4.花嫁になる君に
5.どうしてこんなに悲しいんだろ 6.川の流れの如く
C面 1.イメージの詩 2.マークⅡ
3.夏休み 4.友だち
D面 1.とっぽい男のバラード 2.日本人になりたい
3.私は狂っている 4.かくれましょう
5.恋の歌 6.静
7.人間なんて
《古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう》と《唄の市》を除いた ≪吉田拓郎≫ さんの【エレックレコード】時代のオリジナルアルバムは前回と今回ご紹介した5枚です。
デビューシングルの《イメージの詩》は ≪吉田拓郎≫ さんの許可なく販売されて、音源が悪くて収録しなおしているし、《オンステージⅡ》も無許可で販売され、盗作の疑いまでかけられています。
その上、当時のフォークファンからも商業主義だとののしられる事もあったようです。
【エレックレコード】の営業も大した仕事を採っていなかったようで、印税の管理もしっかりしていなかったそうです。そうした事などから【CBSソニー】へ移籍されたようです。≪吉田拓郎≫ さんもまだお若い頃の事ですが、【エレックレコード】の時代は苦労されていたのではないでしょうか。
学生時代高田馬場に住んでいた私は、自宅の洋品の仕入れで秋葉原の問屋さんに毎月出かけていました。1976年に、その日も仕入れで秋葉原へ出かけた時です。倒産した【エレックレコード】の在庫処分が行われていて偶然行き当たりました。
広場でのあおぞら即売会場で、定価あるいは定価より僅かに安く販売されていました。ひと回り見ましたが結局レコードは購入していません。私が偶然見かけた時、たくろうさんのアルバムは既にすべて売り切れていたのです。