《ハイライト》に新しい仲間が登場しました。《ハイライト》の仲間では初めてキングサイズで登場しています。1971年6月に120円で新発売され、1年後には健康表示が入ります。キングサイズとしては、1966年に発売の《やまと》に次いで発売された2番目のたばこです。

 

〚日本専売公社〛の《ハイライト》の仲間では最後の銘柄となります。《ハイライトエキスポート》が発売された1971年と言うと、当時の若者の嗜好は《セブンスター》に移っていました。

 

発売当時中学生の私の中でも《ハイライト》は =年寄りのたばこ= と言うイメージがありました。販売価格が高く、高級たばこのイメージがあります。発売当初から若年層より壮年層をターゲットにしていたのでしょう。

 

 

《ハイライト》の定価が80円で《ハイライトデラックス》の定価が100円だった時代に120円と言う定価は高く、かなりの上位互換商品だったと言えます。昭和50年(1975年)12月18日の価格改定で定価が170円に値上げされました。そして昭和51年3月には製造中止になります。

 

《ハイライトエキスポート》はクロスライセンスで名称を変えたたばこが海外で販売されています。《燦》と名付けられたたばこが輸出されました。《ハイライトエキスポート》と言う個別の銘柄に、別の特別な名前が付けられたのは〚日本専売公社〛の時代、他の銘柄には見られない事です。

 

 

 

学生時代は ≪ショートホープ≫ を吸っていた私ですが、《ハイライトエキスポート》はパッケージが欲しくて何度か購入しています。と言っても、せいぜい5回程度でしたでしょうか。

 

私はあまり好きな喫味ではありませんでした。モワッと鼻へ抜ける甘いようなフレーバーが苦手だったのです。高級品としてわざわざ付けたフレーバーだったのでしょうが……。

 

 

 

 

《ハイライトエキスポート》の特徴に、途中で封緘紙が変更されていると言う事が挙げられます。

昭和49年9月から、封緘紙に〈金付け〉で書かれた品名が〈金インク〉に変更されました。

 

この変更は、パッケージに〈金付け〉の印刷が見られる他の全ての銘柄で同時に実施されています。封緘紙も例外ではなく変更されましたが、同じ変更は《ミスタースリム》でも見られます。

 

また、パッケージには中央から放射状にラインがエンボスされていて、高級感を演出しています。

他の銘柄でエンボス加工が施されている銘柄は《ショートホープ》《ロングホープ》《ジョーカー》

《ランバージャック》の4種類が確認できます。

 

 

こちらのキングサイズ《ハイライトエキスポート》は、フィルターたばことしては《エポック》に続いて発売された、〚日本専売公社〛による 21 番目の新製品となります。

 

 

 

 

 

昭和50年(1975年)頃より、当時集めていたたばこは全て開いています。1972年に刊行された〚日本のたばこデザイン〛にペーパーの展開写真が掲載されていて面白いので真似をしてみました。

 

学生時代、このデザインは品名が〈金付け〉で書かれていて《ハイライト》より高級感があり、上品でおしゃれだと感じていました。

 

 

サイドに四桁の数字が印刷されています。上二桁は製造工場の番号で、下二桁はその工場の製造機械の番号だと聞いています。(1234)と数字が並び珍しいと思っていました。12番工場の34号機と言う事です。製造履歴の分かる数字の記載が始まったのは、昭和44年(1969年)5月からです。

 

明治42年(1905年)に《オリエント》と言う名前の両切りたばこが発売されます。〚専売局〛では初の(トルコ巻き)と呼ばれる銘柄で、吸い口の部分にコルクが巻かれていたようです。コルクの茶色い所からフィルター部分が茶色くなったと言われているそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

          手元で確認している《ハイライトエキスポート》の変化

 

   ① 昭和46年(1971年)  6月  1日    新発売

   ② 昭和47年(1972年)  7月             健康表示 印刷

   ③ 昭和49年(1974年)  9月         封緘紙の〈金付け〉を〈金インク〉に変更

   ④ 昭和50年(1975年)  7月       ≪np≫ マーク印刷

 

 

 

 

 

            ハイライト エキスポート

 

   昭和46年(1971年)   6月   1日  発売   定価 120円

    昭和47年1972年)   7月      健康表示のため中止

 

昭和46年6月に新発売されています。翌年の昭和47年7月頃にはサイドに健康表示が印刷されますので、このパッケージでの販売期間は1年程度でした。

 

全体の地色は〈金インク〉ですが、封緘紙に書かれている品名だけが〈金付け〉です。同じ彩色の

組み合せパターンは《やまと》《ミスタースリム》に見られます。〈金インク〉で印刷された金色地のパッケージに、封緘紙だけが〈金付け〉です。

 

 

 

 

 

 

                 〈金付け〉の封緘紙

 

 〈金付け〉と同系色の茶色地なのでくすんで見えますが、キラキラとしていて豪華な感じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     昭和47年1972年)   7月    健康表示

      昭和49年(1974年)   9月    封緘紙変更のため中止

 

サイドに健康表示が印刷されました。封緘紙は〈金付け〉です。健康表示の印刷以外は従来のパッケージと変化はありませんが、2年ほどで封緘紙の〈金付け〉が〈金インク〉に変更されます。

 

 

 

 

 

 

                〈金付け〉の封緘紙

 

 〈金付け〉と同系色の茶色地なのでくすんで見えますが、キラキラとしていて豪華な感じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    昭和49年(1974年)   9月    封緘紙変更(金インクになる)

     昭和51年(1976年)   3月    製造中止

 

封緘紙に印刷されている品名が〈金付け〉から〈金インク〉に変更されました。〈金インク〉が茶色い封緘紙の地色に沈み込んでしまい、品名がほとんど読めなくなりました。

 

他の銘柄でも〈金付け〉の印刷されたパッケージは、同時期に全て〈金インク〉に変更されています。《ホープ》や《ピース》《エムエフ》など、数多くの銘柄が存在します。

 

私が最初に購入したのはこのパッケージからです。確か昭和50年の秋頃に購入しています。しかしその時には、7月に登場した ≪np≫ の印刷されたパッケージは既に販売していませんでした。

昭和51年3月に製造中止になりますが、7月頃に最後の購入をした覚えがあります。

 

 

 

 

 

               〈金インク〉の封緘紙

 

 艶のない紙質に〈金インク〉なので金色は茶色地に沈み込んでしまい、ほとんど見えません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  昭和50年1975年)   7月   ≪np≫マーク印刷(2ヶ月程度)

 

    昭和50年(1975年)12月18日        外装セロファンに ≪np≫シール貼付

    昭和51年(1975年)2月まで         開封テープを白色に変更

 

昭和50年5月1日に定価改訂が予定されました。そこで、7月から沖縄たばこと《おおぞら》を除く銘柄に≪np≫ マークが印刷されました。しかし国会を通過せずに値上げは見送られてしまいます。

 

口付きたばこ《朝日》はもともと値上げが予定されていないので印刷されていません。

 

≪np≫ と印刷されたパッケージは何事もなく旧価格のまま利用される事となりました。コレクター以外、喫煙者はほとんど気が付かなかったと思います。

                                   

                            底面に≪np≫ マーク

 

 

 

 

               〈金インク〉の封緘紙

 

 艶のない紙質に〈金インク〉なので金色は茶色地に沈み込んでしまい、くすんだような色です。

 

 

 

 

 

 

 

結局、値上げは同年12月に実施されます。その時には外装セロファンに ≪np≫ と書かれた丸く赤いシールが貼付されました。セロファンのない旧3級品はパッケージに直接貼付されています。

 

 

 

 

 

昭和51年3月から ≪np≫ シールを貼付しないことを周知するポスターです。たばこ店の店頭に貼り出されました。サイズがB4判で長さが38センチ近いのでスキャナーに収まりません。

 

上下2枚の画像を張り合わせたので色の違いがありますが、一枚のポスターです。このポスターは、自宅と同じ商店街にあるたばこ店で貰いました。

 

 

 

昭和52年12月には法改正が実施されます。そこから値上げは国会の承認が必要なくなり、管轄大臣の認可で公社が独自で行えるようになりました。〚日本専売公社〛に限らず、〚日本国有鉄道公社〛国鉄の運賃も同じです。

 

 

 

 

 

 

    〚日本専売公社〛の時代、《ハイライトエキスポート》》で実施された定価改定

 

       昭和46年(1971年)   6月   1日   発売   定価    120円

       昭和50年(1975年) 12月 18日        定価    170

 

 

 

《ハイライトエキスポート》は5年足らずの販売期間で、パッケージにはあまり多くの変化が見られません。それでも3回の変更が見られます。封緘紙の〈金付け〉から〈金インク〉への変更、そして【健康表示】の印刷と ≪np≫ マークの印刷です。

 

 

 

〚日本専売公社〛の時代のパッケージ変化はいくつか見られます。これは他の銘柄でも同じ事が言えます。共通した変化を挙げておきます。

 

  ● 昭和45年9月頃から、U字Ⅱ型包装ではサイドの白地部分の長さがレギュラーサイズ 59㎜

                      ロングサイズは 70㎜ となる。

  ● 昭和47年7月から、サイドに健康表示が印刷される。

  ● 昭和49年9月から、金色が彩色されている銘柄では、金付けが金インクに変更される。

  ● 昭和50年7月には、ごく短期間、パッケージに ≪np≫ マークが印刷される。

  ● 昭和51年6月から、順次レジスターマークが印刷される。多くは昭和52年以降です。

  ● 昭和55年6月から、公社のマークが変更される。

 

 

〚日本専売公社〛の時代はパッケージの印刷もキッチリとしていて、印刷会社による変化が見られません。そのためこちらの大きな変更は共通しているし、各銘柄の変化もしっかり管理されています。

 

昭和46年(1971年)頃には、パッケージにセロファン包装が広く普及します。昭和46年6月1日に新発売された《ハイライトエキスポート》は発売当初からセロファンが装填されていたと思います。

 

 

自分で購入したのは昭和50年10月と、その後廃止の発表があった昭和51年に4個買いました。たばこのパッケージに最も夢中だった時代ですが、私が購入していたのは販売終了間際の時期です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  燦 (さん)

 

          ベルギー製造《ハイライトエキスポート》

 

《ハイライトエキスポート》の海外販売用が用意されました。《燦》と名前が付けられています。

【クロスライセンス】の銘柄としてベルギーで製造されていました。サイドに英文の説明書きがあり、こちらの赤いパッケージには英語で ≪メイド イン ベルギー≫ と印刷されています。

 

 

地色に2種類が存在します。もう1種類は紺色地で、オーストリアの専売局で製造されたようです。

オーストリアの紺色地にはデザインの変更が見られ、2種類に分類されています。

 

紺色地でこちらと全く同じデザインと、封緘紙を細くして(HI-LITE export) の文字が小さくなり、白色で書かれた《燦》の文字が銀色に変更されたデザインの2種類です。

 

 

この頃、輸出専用に純和風を意識した名称として、漢字一文字の銘柄がいくつか用意されました。

《燦=さん》《都=みやこ》の2銘柄は【クロスライセンス】と分かっています。

 

また、他にも《祭=まつり》《碧=あお》など全4銘柄が知られています。その4銘柄は、いずれも【クロスライセンス】だったのかも知れません。

 

 

 

 

 

丁度この頃、〚日本専売公社〛では【クロスライセンス】製品として、海外の4銘柄が製造されていました。《オールドスプレンダー》《マールボロ》《ベンソン&ヘッジス》《アスター》です。

 

 

 

 

 

 

 

次回は《ハイライトエキスポート》の1ヶ月後に新発売された《ベルミニ》をご紹介します。おしゃれなパッケージで、サイズが短い25本入りのたばこです。