学生時代に東京に住んでいた頃から、何となく自分の食べたインスタントラーメンのパッケージを残しておこうと思っていましたが、本気になっていろいろと食べ始めたのは昭和58年(1983年)あたりからです。

 

当時、インスタントラーメンはちょっとしたブームになっていたようです。地域限定のご当地ラーメンが数多く存在したようで、雑誌などでも取り上げられていました。ブームの始まりのきっかけの一つに、テレビの全国ネットのニュースでそれらのご当地ラーメンを提供するラーメン屋さんが紹介された事もあるのかもしれません。

 

私もそのニュースを見ましたが、大きな屋台か板壁の小屋のような店舗で、全国のご当地ラーメンを集め、インスタントラーメンを茹でるだけでどんぶりに盛り付け、確か一杯500円程度で販売していたと思います。なかなか面白い、楽しい発想だと感心して拝見していました。

 

私は、雑誌に掲載された記事を切り抜いておき、写真に写っている銘柄を集めてみようと考えたわけです。掲載されていた、全国各地のご当地ラーメンは取り寄せてまで集める気はなく、身近で買える製品の参考にしていました。

 

その写真の中に【米屋ラーメン】の写真がありました。説明を読むと、お米屋さんだけで販売しているインスタントラーメンと言う事で、早速自宅ちかくのお米屋さんへ行ったところ、はたして販売していました。

 

近所のスーパーにもショッピングセンターにもなく、地元ではごく小さなお米屋さんにも置かれていました。私は一定期間が過ぎると、自宅と同じ商店街にある近くのお米屋さんを覗いては、その都度購入していました。

 

 

調べてみると【白麦米株式会社】と言う、山梨にある米や麦などの穀類専門の食品会社が製造していました。1941年に会社が発足し、1962年に食品工場が新設されてラーメンの製造が始まるようです。

 

そのためにお米屋さんだけで販売していたのでしょう。その後1992年に社名が変更されています。現在は【株式会社 はくばく】になっています。十六穀米や麦茶など健康穀類食品を扱っているようです。

 

販売していたのが全国のお米屋さんなのか、地域の限定されたお米屋さんなのかは分かりませんが、私の居住する静岡は山梨の隣りです。特に私の住む街は山梨との交通網がしっかりしていて、人や物の流通が盛んだったので普通に入荷していたのでしょう。

 

お米屋さんを覗くたびに新しい商品が並んでいました。パッケージの変化は短期間に激しいようです。名前も良く変えられ、その上袋に記されたトレードマークもその時々で変化していますので注記しておきます。

 

商標のように印刷されたマークは商品によって変化しているようです。最初のマークは【人形印】ですが、途中からダブルハートのマークで【はくばく】の表記に変わります。

 

 

 

 

                米屋専売ラーメン  しょうゆ味

 

最初に購入した製品は、当時参考にしていた雑誌の切り抜きに掲載の製品と、全く同じパッケージでした。

 

             人形印   昭和60年3月6日  製造

 

 

 

  

 

 

                    粉末スープ

 

 

 

 

 

                 米屋専売ラーメン  みそ味

 

             人形印   昭和59年12月4日  製造

 

 

 

 

 

しょうゆ味とみそ味が揃っていました。私が所持する中では作られた時代が古く、デザインも古い時代のようなので拡大しています。

 

 

 

 

 

 

 

                   わかめラーメン

 

はじめてお米屋さんを覗いた一か月後に再び出向いたところ、上の二種類のラーメンと一緒に並んでいました。たぶん当時の新商品で、上のしょうゆ味ラーメン、みそ味ラーメンと並行販売していたようです。この時代、裏面に【人形印】のマークはありますが、表面の商標は【はくばく】に替わっています。

 

          はくばく       昭和60年5月23日  製造

 

 

         粉末スープ                  かやく

   

 

    裏面に【人形印】は見られますが、表面の商標が(はくばく)に変更されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

                    九州の味

 

全く新しい雰囲気です。【九州の味】【ごまみそラーメン】の二種類を購入しました。この時にはもう、上にご紹介した三種類は販売していませんでした。販売中の商品としては残っていた可能性はありますが…。こちらの裏面にはまた【人形印】が描かれています。

 

        人形印  米屋専売     昭和61年12月10日  製造

 

 

                     粉末スープ

 

こちらも裏面には【人形印】が見られ、表面のマークの位置には【米屋専売】と書かれています。

 

 

 

 

 

 

 

                  ごまみそラーメン

 

【九州の味】と一緒に求めましたが、こちらは【はくばく】と書かれています。お米屋さんを覗くたびに銘柄が変わっていると思い始めた頃です。何だか変化がめまぐるしいなと感じていました。

 

        はくばく  米屋専売      昭和61年12月10日  製造

 

 

 

                    粉末スープ

 

 

 

 

 

 

 

                 米屋ラーメン  関西風

 

上の二種類を購入して間もなくお米屋さんを覗きましたが、「やっぱり!、新しいのがある!」 との思いがありました。昭和62年の事ですが、この頃以降は【はくばく】だけの表示で【人形印】が見られなくなります。

 

        はくばく  米屋専売     昭和62年1月16日  製造

 

 

 

        粉末スープ                    かやく

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     支那そばの味

 

勿論この時も 「また変わったか!」 と思いました。過去のそれぞれの味はほとんど覚えていませんが、これは何となく記憶に残っています。私は関東風の古いラーメンの味が好きでしたが、これはよく似ていました。「今までの中で、これが一番好きかも…」 と思っていました。

 

           はくばく    昭和62年8月15日  製造

 

 

                    粉末スープ

 

 

 

 

 

 

 

 

                     味の名店街

 

久しぶりにお米屋さんを覗いて見かけました。デザインも名前も含め、「何だかデザインが今風になったナ」と感じ、何となく興味が薄れてしまった時代です。(はくばく)とマークがあるので米屋ラーメンと分かりますが、なければ分かりません。

 

           はくばく    1988年11月1日  製造

 

                                            

                                  粉末スープ

 

 

                               

 

 

 

 

 

 

 

               味っ子ラーメン  しょうゆ味

 

規制緩和のせいでしょうか?、この頃には街中の小さなお米屋さんの元気が失くなっていたように思います。久しぶりに少し大きなお米屋さんに出向いて求めました。

 

米屋ラーメンの雰囲気が全く見られず驚きました。威厳が失われたと言うか、何だか当時のスーパーかドラッグストアーの安売り商品のように感じたものです。裏面の社名を読まないと米屋ラーメンと分かりません。

 

              1989年10月7日  製造

 

 

                    粉末スープ

 

 

 

 

 

 

                    

 

                 味っ子ラーメン  みそ味

 

               1989年10月18日  製造

  

 

                    粉末スープ

 

 

 

この頃には【はくばく】の文字も消えていて、名前もデザインもかなり変化しているようです。デザインは今風です。この頃には近所のお米屋さんも閉店していて、これを最後にお米屋さんへ出かける事も無くなり、昭和も終わったし私はこの年以降は探さなくなりました。