明治時代から昭和のはじめまで、逓信省が用意した官製絵葉書が販売されていました。現在の葉書のように額面表示が無く、私製葉書のような体裁の葉書です。額面の無い絵葉書の発行は昭和4年の【伊勢神宮式年遷宮記念】までで、額面表示が印刷された絵葉書の発行は昭和11年からです。
逓信省の販売したはがきが官製絵葉書と考えられるのですが、逓信省以外にも、逓信協会や地方都市、学校、赤十字などかなりの種類が販売されたようです。逓信省発行の官製はがきは、多分戦費獲得の意味合いが大きかったのではないかと想像されます。
官製絵葉書は23回程度用意されたようで、そのうち明治時代が16回程度見られます。明治時代の絵葉書は殆どが日清戦争、日露戦争などの軍関係で、一般的なものは【万国郵便連合加盟25周年】【日米海底電信線開通】【伊勢神宮式年遷宮】【日英博覧会】【皇太子逓信省行啓】等、僅かに4回のみです。
官製絵葉書は数枚で一組となっているものが多く、記念事項は23回程度ですが葉書の種類は80種以上あるようです。一般に見られるものでもなく、明治時代の葉書など高額なものも多く、私はとてもコレクターとしてすべての官製絵葉書を集める事が出来ません。
初めて官製の絵葉書の存在を知ったのは高校生の時です。当時、モノクロ写真で見ただけで評価額は知りませんでしたが何しろ古いので「きっと高価なンだろうナー、欲しい気もするけど…無理だろうナ」と思いつつ写真を眺めていました。
明治時代の絵葉書はわずかながらに所持していますのでご紹介します。今回ご紹介する葉書には、同じ日に発行された甲、乙の二種類が見られます。
この時、同時に記念切手を発行して貼付し、記念印も用意されていて捺印されています。欧米では一般的だったコレクターズアイテムを採り入れたのでしょう。この凱旋観兵式では満州などに出兵していた兵士が31,000人ほど参加したようです。
明治時代に記念切手と共に発行された葉書は、私の手元にはこちらの一種類だけです。記念切手を伴わない、明治三十七八年戦役記念絵葉書はいずれご紹介します。
明治39年4月29日(1906年) 発行 売価五銭
明治三十七八年戦役
陸軍凱旋観兵式記念絵葉書
発行枚数 1,000,000枚
書かれてはいませんが、こちらが(甲)のようです。
裏面には記念切手と記念印が見られます。
一枚入り 袋
ごく薄い、パラフィン紙のような袋です。
明治39年4月29日(1906年) 発行 売価十銭
明治三十七八年戦役
陸軍凱旋観兵式記念絵葉書(乙之部)
発行枚数 220,000枚
こちらも記念切手に記念印が押されています。
一枚入り タトー
タトーの内側
内側には英文と仮名文で説明書きがあります。
コレクションとして大切にしていますが、真面目なコレクターとして集めている訳ではありませんので明治時代はごくわずかです。記念切手の発行されない明治期の官製絵葉書はいずれご紹介しますが、次回は大正時代に入ります。