ルイ十六世の最期は、単なる処刑ではない。そこには、王という存在の在り方に対する民衆の問いがあった。
私たちはこの1枚の中で、裁きを受ける王の背中と、それを見つめる群衆の眼差しを描いた。ギロチンがあったのか?
それは描かない。なぜなら、この物語に必要なのは“血”ではなく“目線”だからだ。
この漫画のルイ十六世は、静かに跪く。彼は何を思ったのか。その答えはない。
けれど、彼の沈黙と群衆の怒号の対比が、フランス革命の本質を語っている。
悔恨とは、必ずしも涙や言葉で表現されるものではない。
沈黙もまた、ひとつの「叫び」なのだ