「クレオパトラ」と聞けば、世界を魅了したエジプトの女王を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、元々はただの末妹。宮廷の権力争いの中で生き延びるため、知略とカリスマ性でのし上がった彼女は、やがて古代地中海世界を揺るがす存在となった。


そんな伝説の女王が、現代の歌舞伎町に降り立ったら——?




煌びやかなネオンが輝くバーの片隅。「エジプト観光団歓迎」の文字が踊る看板の下、黄金の冠を戴いたクレオパトラが、グラスを片手に高らかに歌い出す。


「♪ 清きアイーダ、栄光の花冠よ〜!」


ヴェルディのオペラ『アイーダ』。戦乱のエジプトを舞台に、愛と誇りに生きる人々の運命を描いた壮大な物語。王女アイーダと敵国の将軍ラダメスの悲恋が、壮麗な音楽とともに紡がれる。


その名曲を、まさかの歌舞伎町で熱唱するクレオパトラ。彼女の侍女たちも加わり、さらにはスフィンクスまでが合唱に参戦!?


——ここは、古代エジプトか、それとも現代日本か。


エジプト観光団の宴は、まだまだ終わらない。