ので!
巷でよく見かける例のカボチャ、
ジャック・オ・ランタンにまつわるお話。

                                  ハロウィン


昔、ジャックという狡猾な男がおりました。

ある日、ジャックのもとに悪魔が
「お前は悪党だ。私が地獄へ連れて行こう」
と、お迎えにやって来ました。

「ああ、でもその前に酒が飲みたいや。
 一杯おごってくれないか?」
「それくらい構わないさ」

酒場にやってきた二人。
そこでジャックは呑みながらこう言いました。
「なぁ、あんたが俺を地獄に連れて行く
 ほどの偉大な悪魔か確かめたいんだが」
「いいとも、どうすればいい?」
「そうだな…この小さな酒瓶に入ってみろ」
「お安い御用だ」
素直な悪魔は瞬く間に小さくなり瓶にすぽんと
収まりました。その途端、ずる賢いジャックは
瓶のふたを閉めてしまいました。
「ジャックめ、謀ったな」
「怒るなよ。俺を地獄にやらないと誓うなら
 すぐにふたを開けるぜ」
「わかった、誓おう」

そうしてジャックは悪魔をまんまと出し抜き、地獄行きを免れたのです。

しかし、そんな彼にも寿命はあるものです。
とうとう『あの世』へ行く日がやって来ました。

まず彼は天国に訪れました。
しかし天使は彼に門戸を開きませんでした。
「あなたは善良な生き方をしてこなかった。
 地獄に行くのがよろしかろう」

しぶしぶジャックが地獄に行くと門番に
あの悪魔がおりました。
「けっきょくココに来ることになったよ」
「ジャックよ、私はお前を地獄にやらないと
 誓ったんだ。ここは通せない」
「けど、俺は天国にも行けないんだ」
「では来た道を戻れ」
「ああ、そうするさ。でも帰るにも道が暗くて
 歩きづらいな」
「仕方ないな」

そういって悪魔は赤く燃えた炭をくれました。
ジャックは道端に生えていたかぼちゃをくりぬき
そこに炭を入れ提灯を作りました。
「ありがてぇ。これでいくらでも歩けるよ」

そうして狡猾なジャックは今でも『この世』と
『あの世』の境を彷徨っているのです。
そう、未だに。

 
                                  ハロウィン


ちなみにジャック・オー・ランタンは
かぼちゃがメジャーだけど本家である
アイルランドではカブ!

移民した先のアメリカにはカブがなくて
かぼちゃで代用したそうですハロウィン