アメリカのお話。

ある男性が『車を譲ります』っていう広告を見つけたの。ちょうど車ほしいな~って思ってたんだけど、気になったのはそのお値段。異様に安いの。誤字かな、それともいわくつき?

でもやっぱり気になるから、その広告主に連絡してみたの。
で、住所も近いから実際に見に行くことになったのね。

行ってみると、車の売主は独り身の老婦人。
ご婦人は感じのいい方で快く彼に車を見せてくれました。

車はみたとこ、型は古いけど高級車で綺麗にしてあります。とても、広告にある値段で譲るようなモノには見えません。

欠損や事故歴もなくいわくつきでもないらしい。そこで彼は失礼を承知で値段について聞いてみました。

ご婦人は言いました。
「これは主人の車なんです。」
「では大事な形見なのでは?」
彼の問いにご婦人は笑ってこう話しだしたの。

「いいえ、主人はね、生きているんです。
 私を捨てて若い女とかけおちしたんですよ。

 もともとお酒に博打・女、金遣いも荒くて決して良い旦那ではなかった。
 それでも私は献身的に尽くしてきたんです。

 その挙句、車を売ってお金を送れですって!
 まったくひどい話でしょ」

思いがけない展開に彼は困ってしまいました。
それを察してか、ご婦人は恥ずかしそうに
微笑みました。
「あらやだ、こんな話をしてしまって!
 どうかお気になさらないでね?」

そして、こう続けました。

「私は夫に長年尽くしてきたの。
 だから今回も彼に従うつもりよ。
 この車を売ってお金を夫に送るの。

 それでどうかしら?

 この車、1ドルで買ってくださる?」