アメリカのお話。

 ある嵐の夜、女の子が一人でお留守番をすることになりました。
両親が急な用事で出掛けることになったのですが、外は嵐なうえ、
夜も遅いので彼女ひとり家に残ることになったのです。
 
 両親は心配しながらも番犬に後を任せ、出掛けて行きました。
お家に一人きりになった女の子はしばらく犬と遊んでいましたが、
すぐに眠くなりベッドへと向かいました。
 もちろん、大好きな犬も一緒です。

 真夜中。
 
 何かの物音で女の子は目を覚ましました。風の仕業でしょうか?
もしかして泥棒かも?女の子はすっかり怖くなってしまいました。
彼女は犬の名を呼び、玄関の様子を見てくるように頼みました。
部屋は真っ暗で姿こそ見えませんが、気配で彼が出て行ったのが
わかりました。

 なかなか犬は戻ってきません。不安に思っていると何かが部屋に
入ってくる気配がしました。女の子は嬉しく思って犬の名を呼び、
手を差し伸べました。
 すると、ペロリと手を舐める感触がありました。彼女はすっかり
安心し、その後はぐっすりと眠ることができました。


 翌朝、女の子は母親の叫び声で目を覚ましました。びっくりして
辺りを見ると家中がぐちゃぐちゃ!一緒に寝ていたはずの番犬の姿も
ありません。母親は泣きながら女の子に抱き付いてきました。
「無事でよかった!」女の子は訳が分かりません。
 
 しばらくして警察がやって着ました。両親はゆっくりと女の子に
お家に泥棒が入ったこと、その泥棒に犬が殺されてしまったことを
聞かせました。女の子はとても驚き、そしてとても悲しみました。
さっきまで一緒に寝ていたはずなのに…。
 突然、部屋を調べていた警官が女の子に声をかけました。
「犯人からだと思うんだが、このメッセージに心当たりはあるかい?」
警官の手には手紙のようなものが握られていました。
 女の子が見てみると、そこにはこう書かれていました。

「 犬じゃなくても舐められるんだぜ、お嬢ちゃん? 」