DarknessAlice

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オリジナル小説を載せています

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始め








「ゆずは?」


リビングに来た亜蘭は遊弦の姿がないことに気づく


「ん」


信綱は昼ご飯を作りながらソファの方を見る


亜蘭がソファを覗き込むと遊弦が眠っていた


「寝てなかったみたいだな」


「そっか…」


そういうとソファのそばに座って眠る遊弦を見つめる


「なんかかけといてやってくれよ

そのままだと悪化する」


信綱は慣れた手つきで料理をしながらいう


亜蘭は適当に返事をしながら


近くのクローゼットから毛布を出してくる


「…なぁ、のぶ」


「どした?」


妙に沈んでいる亜蘭に少し疑問を持ちながら問いかける


「ゆずは…あいつのこと忘れられないのかな?」


信綱は少し目を見開き固まると


作ったご飯をテーブルに持っていく


「なんでそう思った」


少しイラついたようにそういってテーブルにご飯を置いて座る


亜蘭は遊弦に毛布を掛けると信綱の隣に座った


「この前遊弦が報酬でもらってきた情報だよ…

あれ、あいつのことだったみたいで」


「勝手に見たのか…」


信綱は呆れたようにため息を吐く


いくら幼馴染といえども限度というものがある


「たまたま目に入ったからつい…」


「ついじゃねぇだろ

俺達もゆずには色々ダダ漏れだけど

その辺は気使ってくれてんだから…」


ため息交じりにいう信綱に亜蘭は思わず苛立つ


「気になったんだよ!

それに、携帯と一緒にベッドに隠してあった

もしかしたら電話してるかも…」


「もういい!

あいつの話すんな、気色悪い」


無理矢理に話を切ると無言でご飯を食べ始める


亜蘭も仕方なくそれに従う


「もし…電話してたらどうする」


信綱は答えることなくご飯を食べる


「もうあいつの話しないから! これで最後!」


相当不安なのか亜蘭は頼むようにいう


「どうもしねぇよ

ゆずの好きにさせればいいだろ」


その言葉に亜蘭は少し納得いかなさそうな表情をしていた



























「ん…?」


遊弦はテレビから聞こえてくる笑い声で目を覚ます


「お、目覚めた?」


亜蘭は笑顔で遊弦の頭を撫でる


「熱どうだ? マシになったか?」


読んでいた本を閉じて信綱は遊弦の額に手を当てる


「あんま変わんねぇな…

やっぱ薬ぐらいは飲んどかないとダメだな」


そういって薬と水を取りに行く


遊弦は少しボーっとしているのかゆっくりと起き上がる


「大丈夫か? ゆず」


亜蘭は心配そうにいって信綱と同じように額に手を当てる


冷たい亜蘭の手で目が覚めたのか遊弦はそこであることに気づく






―――― あれ?






驚いた表情の遊弦に亜蘭は首をかしげる


「ゆず?」


「どうかしたか?」


信綱は薬と水を持ってきながらいう


聞こえない…


「え?」


亜蘭が聞き返すが遊弦の返事はない






―――― 心の声が聞こえない…






「…聞こえないのか?」


動揺しているのに気付いたのか信綱は遊弦の耳を触る


その言葉に遊弦は不安そうにうなずく


「マジか?!

久しぶりだな…」


うつむいて泣き出しそうな遊弦を亜蘭は安心させるように抱きしめる





遊弦は小さい時からずっと病弱で


幼稚園ぐらいの時には心の声が


聞こえるときと聞こえないときがあった



小学生になると能力が安定して聞こえるようになってきていたが


それでも風邪を引いたり、精神的に動揺しているときは


聞こえなくなったりしているときがあった



中学に入るとそれは全くなくなり聞こえるのが当たり前になっていた


そこからきちんと聞こえていたものが聞こえなくなるのは


遊弦にとってかなりにの恐怖になっていた



といっても何もかもが聞こえなくなるわけではなく


人並みの聴力は残っている






「今日の任務断った方がいいかもな…」


遊弦は亜蘭に抱きしめられたまま信綱の腕も掴んでいた


久しぶりの感覚にかなりの不安があるのだろう


「先生に電話した方がいいな…」


そういって携帯を探すが周りには見当たらない


少し考えて思い出すと同時に頭を抱えた


「かばんの中だ…」


「Σちょっ つか俺も部屋に置きっぱなし…」


二人は無言で顔を見合わせたあと遊弦を見る


話はちゃんと聞こえているのか


遊弦は亜蘭から少し体を離した






―――― そこは俺を選んでほしかったなぁ…






亜蘭は少し泣きそうなのを堪えると遊弦を離して立ちあがった


「のぶ変なことすんなよ!」


「するわけねぇだろι」


悔しがりながら亜蘭が部屋に戻っていくと


遊弦が信綱の腕を引っ張る


「久しぶりで不安か?」


問いかけに遊弦は軽くうなずく


信綱は頭を撫でながら遊弦を抱きしめる






―――― 役得…役得…



























『あら、イケメンから電話なんて嬉しいわね♪』


「ごめん先生、今ツッコめない」


亜蘭は早く戻りたいのか少し急かすようにいう


『何かあった?』


「遊弦の風邪ちょっと酷いみたいでさ…

今ちょっと耳が聞こえなくなってるんだよ

あ、聞こえないって言っても心の声な」


早口で説明され分からないことも多いが


ユリシスは理解したのか相槌をうつ


『それは不安になるなわね…

二人ともいた方がいいの?』


「そう、だから今日の任務はちょっと…」


『そうねぇ…』


ユリシス自身つい最近遊弦に急ぐなと言われたばかりだ


それに五人といえど量が多かった場合


対応しきれないかもしれない


「電話してくれたら俺かのぶが行くから」


『うーん…

まあ、仕方ないわね』


ため息交じりにそういってユリシスは『ただし』と付け加える


『絶対に電話に反応すること

あと、遊弦の風邪をすぐ治すこと』


「分かった! ありがと先生」


亜蘭はそういって通話を切った









                                  やみ