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2011のしあわせ

たわ言、泣き言、バカ話。

2011個のしあわせ集めます。

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「私に恥をかかせる気!?」
と、その女性はのたもうた。

週末の日暮れ時。
昨日からの雨が満開の桜の花びらを使って川に貼り絵をしているかのような風景の
目黒川散策からの帰り。

最近ちょっと贅沢だとたしなめられた私は
旦那さまの好みを考慮にいれ
その日の夕食を評判の餃子専門店でと決めていたのだが

「わざわざそこまで出向かなくても疲れたから近所で良いじゃん」

という言葉で方向転換を余儀なくされた。
とはいうものの、お腹はすっかり餃子のお腹になっており
他の食材なんか受け付けない。
しぶしぶ近所の中華専門チェーン店に行くことにした。



まだ夕食には早い時間だったが
店内は意外に客がいた。

通された席からテーブルをひとつ挟んだ向こう側にそのカップルはいた。

女性はノートを広げ男性となにか相談しているようだ。
楽しそうだった。20代・・・だろうか。



異変に気づいたのはそれからしばらく経ったとき。

その二人の間にはいつの間にか不穏な空気が流れていた。
女の子の目が怖い。声がヒステリックに響く。



女「じゃあ、○○さんは?○○さんにお願いしてみてよ!」

男「そんなこと頼めないよ」

女「どうしてよ?頼んでくれたって良いじゃん」



旦那と目が合った。
「困ったね」というふうな信号を送る。

女の子はイライラしている。
そのイライラを持っていボールペンにぶつけるかのように
何度もノックする。カチカチカチカチ。

あ、ヤバい。これ以上彼女が続けると旦那が怒りだすよ。

・・・・っと思ったら見られているのがわかったのか音は止んだ。

しかし、彼女の攻撃は止まらない。
興味深いので少し聞いてみることにした。

話の断片から推測すると、こうだ。

彼と彼女は結婚をする。
親には紹介済み。
式も決まっているのかもしれない。

今日は新居を探しにきたのだ。

しかし、彼女が住みたい物件は
今の二人の経済状況では厳しい。

彼は身の丈にあった物件にしようという。

彼女はそんなのはいやだという。
彼の経済状況を知らなかったようだ。
誰かにお金を借りてでも手に入れたいもののようだ。

「あなたは私の親が聞いたとき、大丈夫と言った。だから、親も安心した。
なのにいまさらなに!?そんなことなら最初から親に頼めばよかったじゃん」

そんなことはイヤだという彼。君の両親に頼るつもりはない。
それより、もっと現実的になろう。妥協してくれ。
今考えても厳しいことが続くわけがない、と。



切実な彼の言葉は、彼女には届かない。

「じゃあ、私に六畳一間に住めって言うの!?」

・・・・極端すぎだ。でもそれも彼女の作戦。




そして彼女はあの台詞を言った。


「私に恥をかかせる気!?」


・・・はじめて生でそう言う台詞を吐く人を見た。





こういう時の女は嫌いだ。
本当に周りが見えていない。
自分の欲望を満たそうとあらゆる理由を総動員して
あの手この手で我を通そうとする。

ただただ、自分の思い通りに事を運ぶには相手にどう言ったら良いのか
どういう攻め方をすれば良いのか本能的に計算する。

そこに相手に対する思いやりなどこれっぽちもない。

そこにいるのは自分が好きになった男ではなく
自分の欲望(絵に描いたような結婚生活)を叶えることができない情けない男がいるばかり。


私はそんな台詞は言えない。が、気持ちはわかるのだ。
だって、女だから。

自分の思い通りに人を(主に旦那を)動かしたいとき
私はこういう手法を無意識に使っている。

旦那に指摘されてそれがわかった。
このことで何十回も言い合いになったけれども
今ではそういう自分の心の動きは分析することができる。
このことについては8:2で旦那が正しい。

分析はできるが、それでもやってしまう。やらずにはいられない。
それが女なんだ、と思う。

業の深い生き物だ。
男を使うことで弱い自分を、子供を守ってきたんだろう。

見る人が見たら、それはずいぶん醜いものなんだと
改めて思った。心が痛む。


私たちは席を立った。



彼らがどうなったのかは、知らない。