午後６時...。

室内で横になっていたアリスが、
ハァハァと言いだしました。

...トイレのサインです。

ぼくはアリスを抱え上げると、
隣の空き地まで歩きました。

「さぁアリス、トイレがんばろうね」

ぼくのかけ声と同時に、
アリスはゆっくりと回り始めました。

１周、２周、３周...５周回りましたが、
アリスはトイレをしません。

ここで、ママにバトンタッチです。

ママも回ります。

１周、２周、３周、４周...
それでもアリスはトイレができずに、
とうとう、その場に
ヘナヘナと倒れこんでしまいました。

もう、歩くだけの力がないのです。

ここは一旦部屋に戻って、
次のチャンスをうかがうことにしました。

午前１時...

再びそのチャンスが訪れました。
アリスがハァハァと言いだしたのです。

ぼくはアリスを抱え上げると、
隣の空き地まで歩きました。

「さぁアリス、今度こそがんばるぞ！」

ぼくのかけ声と同時に、
アリスはゆっくりと回り始めました。

しかし...
１周、２周、３周、４周回っても、
アリスはトイレをしません。

ここでまた、
ぼくはママにバトンタッチしました。
もう腰が痛くてたまらないのです。

ママも回ります。
１周、２周、３周...。
それでもアリスはトイレをしませんでした。

「ほんとうに神経質な奴！
こんなことなら、
室内トイレをさせておけばよかった」

ぼくは心の中でいつしか
愚痴をこぼし、しまいには、
お梅に応援を頼んでいました。

お梅も回りました。
１周、２周、３周、４周、５周。
それでもアリスはトイレをしません。

最後にもう一度、ぼくが回りました。

ぼくとアリスは
最後の力をふりしぼって
トイレに挑みます。

３周回ったところで
ぼくとアリスは悲鳴をあげました。

「もう無理だ！腰が痛い！限界！」
「パパ、つかれたよ！私、無理！」

アリスとぼくは肩を落として
部屋に戻っていきました。

ぼくとアリスは、
トイレも、人生さえも、
投げやりになってしまいました。

ママとお梅はそんな二人を
心配そうに見つめています。

部屋に戻ったぼくは冷蔵庫から
「Lady　Borden４７０ml」
を取り出しました。
それをアリスと二人、
半分づつ分け合って食べました。

「アリス。これを食べて、
また、チャレンジだ。ムシャムシャ」
「そうだね、パパ。
再チャレンジだ。ムシャムシャ」

二人が立ち直ったとき、
時刻は午前２時を過ぎていました。

Lady Borden

Lady　Borden