パパはなかなか寝つけず、
コタツに入って一日の出来事を
思い返していました。

「今日のアリスは
相当弱々しかったな...」

午前３時。
ブログを更新すると、
ジュジュかあさんから
すぐに電話が入りました。

「アリスちゃん、どうですか？
...グスン。アリスパパ笑ってるし、グスン」

「だって、電話は早いし、泣いてるし...」

「あのブログを見たら、
そりゃ心配になりますよ」

「アリスは本当に弱っています。
息も浅いし、熱もあるみたい。
今日はとうとう立つことも
できませんでしたから、もしかしたら...」

「そんな...」

その日の午後になり、
トイレの時間になると、
私はビールのようなオシッコと
バナナのようなフンをしました。

それから、
「ボンジュール」さんに
連れてゆかれました。

「アリスちゃん立ってごらん！」

「こうやって♪」

食欲のない私に、
パパとママは赤牛をくれました。

「パクッ...」

その姿を見ていた
隣の三人の女性客は、
皆泣きながら帰って行きました。

「少し、元気が出たかな...」

会社に寄ると、
ホーちゃんが寝ていました。

パパはホーちゃんの鼻の穴に
長いガムを突っ込んで遊びました。

パパがいたずらをしても、
ホーちゃんはご機嫌でした。

それもそのはず、
ホーちゃん家族の新居が決まったのです。

今日は、その契約の日です。

人生のしあわせは、
ささいなことの
積み重ねでできている

小さな、
すぐに忘れてしまうような、
あたたかいキス、ほほえみ、
優しいまなざし、心からのほめ言葉

そして数えきれない、
ちょっとした楽しい考えや
うれしい気持ちといったものだ。

サミュエル・テイラー・コールリッジ
（即興芸人）

「家賃六万五千円か...」

「ホーちゃんがうれしそうでよかった」