アリスの病院 | 続・阿蘇の国のアリス
「アリス、立て!歩け!」


(無理だよ...)

肉体など
とうになくしているはずなのに、
のどのあたりに熱いかたまりを
感じました。

恐怖による吐き気なのか、
激しい怒りなのか、
自分でもよくわかりませんでした。

(ゲボッ、ゲボッ)


その日(26日)私は、
世界地図も描けずに旅に出ました。

行く先は、
宇土半島にある三角町だそうです。


ところが...

御興来海岸
(おこしきかいがん)まで
きたところで、

これまでにない大発作
(らしきもの)を起こしたため、
急遽、ペットクリニックまで
戻ることになりました。

「どうしょう、アリスーー!」

ママの叫び声が有明海に響きました。

(これが、私が見た最後の風景...)


「着いたよ、烏城ペットクリニック...」


「脳腫瘍が大きくなったのかも
しれませんね...」

「舌は出たままで、
目も閉じたままになったんです...」


「アリス、戻っておいで...チュッ」


鳥城ペットクリニックのある
川尻町は、西南戦争の際に、
薩摩軍が本営を構えたところです。


当時は街一帯が
約一万人以上の薩摩軍兵士で
埋め尽くされたそうです。


川尻に着いた西郷は、
征討令が出され
賊となったことを知ると
軍服を脱ぎました。


そして、
桐野らが熊本城攻撃の先兵を
すでに送ったことを知ると、

「それでは熊本城で
戦争になるではないか」

となげき、自決未遂を図ります。


「アリスちゃん...」


「もうじき、誕生日だね」




(ママ、新幹線...)


ねぇ、パパ。

病院のまえに立ち寄った
御興来海岸...。

海の匂いを嗅いだ時、
少しだけ、胸の奥が
ワクワクしていたの。

だから、もう一度。

もう一度だけでいいの。

私をあの場所に連れていって...。


27日、
午前1時のアリスちゃんです。


「あのね、
パパが長井院長にお願いしたの。

ペットの病気のことで、
困っているお友達の相談に
のってくれますか?って...。

そしたらね、
先生がブログのコメントで
よかったら、
相談にのりますよ、
っていってくれた。

とても優しい先生だから、
ウサギにだって詳しいんだよ」


アリスの病院です