行く? | 続・阿蘇の国のアリス
そっとうしろから近寄り、
そのちいさくなった
身体を抱き上げ、
頬ずりをしていいたい...

「きみがいてくれたおかげで、
ぼくたちはどんなに
素晴らしい時間を
持つことができたか」

7年前、
誰のためなのか、
ぼくはペットショップに
犬を見にいきました。

そこで一匹の
ダイヤモンドのような瞳をした
仔犬に出逢いました。

あれは運命だったんだ。

人なつこくて、
怖いもの知らずで、
そして何より、
彼女と仔犬は親子のように
見えました。

名前は「アリス」としました。

我が家は一変しました。

どこへ出かけるにしても、
アリスが中心で
楽しいことばかりでした。

そのアリスが病気になって
ついには寝たきりになってしまいました。

ぼくに助けを求める目が、
表情が切ないです。

「おいで、おまえは十分に
生きたんだから...

ところで、アリス。

今日はね、
酵素風呂の約束をしているの。

黒川温泉で
酵素かけおとうさんと
おかあさんが待っているの。

おまえが来るからといって、
3日前から
酵素を温めてくれたんだよ。

死ぬかもしれないけど、行く?

世界地図を描いたら、行く?

ガンバレ、アリス」

「チッ」