愛犬の無病息災 | 続・阿蘇の国のアリス
冬は、
夏を生きぬいた生きものたちに
容赦なく一線を引き、

弱ったものを脱落させてゆきます。


キツネのレッドも、
タヌキのイエヤスも、
シカのクヤシカも、
イノシシのシシナベも、
金魚のキンとギンも、
ママの祖母も、
パパのクソババも、

皆、冬に去ってゆきました。


生きものたちは、
どんな思いで
初雪を迎えるのでしょうか。


1月6日(土)。

「ねぇ、ぶたモン、
どこに行ってるの?」

「ナビではこの辺りなんだけど...
山鹿の若宮神社だよ」


「そこでね、
アリスの無病息災を祈願するの」


「階段、きついけど、
今日はぼくががんばる、
ハァ、ハァ、...」


牛馬の守り神で知られる
山鹿市熊入町の
若宮神社の大祭
「ガランザサ祭り」が
6日ありました。


祭りは
山鹿に残る正月行事で、
江戸時代、加藤清正の
愛馬が病気になり...


境内に生えていた
ササを与えると、
たちまち元気になった
と伝えられています。


その験を担ぎ、
今はペットの無病息災を
祈願する人でいっぱいです。


「やばい、膝にきた...」


「ブーーーッ...」


「ぶたモン、ありがとう、代わろうか」


「アリスと
ぶたモンとにせモンと
アニマルキョウ子ちゃんと
ヤキトリとミズタキと
金魚のアカとシロの
無病息災を祈願します...」


「そして...

アリスを心配してくれている
大切なお友達も...」


「おっちゃん、
あるだけ全部下さい!」

「えっ、大至急作ります!」


「10個しかできないんだって...」


「はい、アリスちゃんに♪」


「お友達に送りたくても、
住所がわからないね...」


「...もしかして、
魔法使いのおじさん?」

「そうだよ、
神様から頼まれたの。

アリスちゃんがここに来たら、
お祈りするようにって...
誰にも言っちゃいけないよ」

「うん、おっちゃん、ありがとう♪」


「おじさんと、何話してたの?」

「秘密...」


「もぐら打ち、してるね」


「アリスちゃん、元気でね♪」


ここは、「蓮華院誕生寺奥之院」。


名物はビーフシチューです。


「はあ、朝から
飲まず食わずで来たから、疲れた...
まずはソフトクリームから」


今、この日、この時刻に、
旅をしている人は
地球上に何人いるのかな。


今、愛するものを思って、
祈りを捧げている人は
地球上に何人いるのかな。

何かがはじまるのは
ほとんどが旅の途上。