世界でたったひとつの | 続・阿蘇の国のアリス
貧乏なサラリーマンの家に
生まれたアリスは...


クリスマス・イブの夜...




病気のママのために
「幸せの二羽の鶏」を
探しに行くことにしました。


女神さまからもらった
魔法の帽子のダイヤモンドを回して...


犬や猫や、水や火やパンや
お砂糖の精と一緒に...












冒険の旅へ。




思い出の国や夜の国、森や墓場、
幸せの御殿、未来の国。


アリスは
いろいろな場所に出かけて
たくさんのものに出会いましたが...






結局、
二羽の鶏を見つけることができずに
家に帰りました。


ところが、
翌朝アリスは、
あんなに探していた二羽の鶏が、
自分の家にいたことを知りました。


ガタガタッ。

窓枠を揺らす風の音に、
夜半、私は目を覚ましました。

夢を見ていたせいか、
心臓が大きく波打っていましたが、
ママの腕の中にいることに気付いて
ホッとしました。

かすかに身体を動かすと、
ママは眠ったままで、
無意識に私を抱き寄せました。

触れ合った身体からママの
鼓動が伝わってきます。

規則正しく、力強い生命の鼓動。

その音と温もりを感じていると、
幸せなような、切ないような気持ちが
胸に込み上げて泣きたくなりました。

ここは、世界でたったひとつの
安心できる場所なんだ。