「雨の日も悪くない...」
「旅の疲れがとれる...」
「録画が見れる...」
「本が読める...」
「映画だって観れる」
パパがおっとりと言いました。
「でも、少女が
難病にかかってしまい、
ひとりだけ死んでしまう。
そんな映画は大嫌い...」
「私、お涙ちょうだいって、大嫌い。
一億人が観たって、私は絶対観ない」
「病気で人が死ぬ話なんて、
暗くて大嫌い」
ママは真剣に怒っているようでした。
カップのコーヒーを
ひと息であけて言いました。
「観るんだったら、
ゴッドファーザーよね」
「マーロン・ブランドもよかったけど、
やっぱり、アル・パチーノが最高」
「スカーフェイス、覚えてる?
野心に満ち溢れた若き青年が
ギャングの帝王にまで登りつめた末、
銃撃戦で華々しく死んでいくの...」
「彼は目的のために
最初から最後まで懸命で、
迷いがなかったわ」
ママは叫ぶように鋭く言いました。
これだから、ママは怖い。
「私は、プリティーウーマンかな」