ササの写真集 | 続・阿蘇の国のアリス
「ミズタキ、そんなところを
掘ったら、パパに叱られるよ」


「クッ、クッ。パパは叱らないよ...」


「こら~!ミズタキ。また掘ったわね~!」

「叱るのはいつもママの方だよ、クッ、クッ」


きょうはママが
「くず料理が食べたい♪」と
わがままをいったので、
南小国町のそば街道にある
「蕎麦菜(そばな)」さんまで出かけました。


「あいてる?」


「あいてた♪」


「蕎麦菜」さんは、
天然のくず、
地元の旬の野菜、
阿蘇あか牛肉等を材料に...


全国料理コンクールで
数々の賞を受賞した
女性料理長が作る
創作くず料理の専門店です。


くずはからだを温め血行を促進し
整腸作用があり、さらに消化が良くて
からだの不調をバランス良く
改善してくれる優れた食材です。






「美味しい~♪」


「これは、アリスに...」


「マスクの袋に入れて」




くず料理を堪能した二人は
「茶のこ」さんに寄りました。




目的は、
不思議の国のアリスの
Tea Partyセット...
(カレルチャペック紅茶店)
パパのお気に入りです。


ママは無農薬ほうじ茶を選びました。


さて、
この「茶のこ」さんですが、
決して忘れることのできない
一匹の猫の物語があります。


その猫の名前はササ、5歳です。


ササはもとは野良猫で、
2011年8月、
ふらりと「茶のこ」さんに立ち寄ると
そのまま看板猫になりました。


やがて、
夫妻の自宅で飼われるようになり、
いっしょにカフェまで
通勤するようになりました。

こうした毎日が5年以上続きました。

今年の2月3日(節分の日)は
カフェはお休みでしたが、
ササはひとりで出勤しました。


しかしその時、
車にひかれてしまいました。


道路のわきに横たわる
ササを見つけたのは、
ご近所の方でした。
近づくと、
ササはまだ息をしていました。

すぐに病院に運ばれ、
緊急手術を受けました。

ササは一命をとりとめましたが、
重傷であるのは明らかでした。
(背骨が折れていました)
入院中、また手術が決まりました。

その間、2週間。
カフェに集まるお客様のお声で
一口千円の「応援箱」ができました。
ご主人はお礼に
「ササの写真集」を作りました。

2回で60万円以上の手術費が
掛かりましたが、
そのなかには160冊分の
応援金が含まれました。


2回目の手術の後、
ササは死んでしまいました。

ササは今、お客様から見える
カフェの敷地に埋葬されています。


奥さまはササが死んだ時、
右前足に、ハートの印を付けました。

生まれ変わったササに気づくためです。

「右前足にハートの模様をもった猫を
見かけたことがありませんか?」

奥さまの口ぐせです。


「アリスちゃん、言っとく!
ササにまだ、
アリスちゃんを呼ばないでって、
言っとくからー!」