お帰りなさい | 続・阿蘇の国のアリス
ママ、パパ、ごめんね、
心配をかけて...。

明日はママの外来の日。
...だというのにね。


体調が急変してしまったの...。


でも、必ず目を覚ますから...。
ママを守ってあげるから。


アビー王子様、ごめんなさい...


私はまだ逝けない!

「パチリ」


その頃、
ママとパパは病院にいました。

ママは血液を抜かれ、
レントゲンの画像を撮影された後、
ロビーで横になっていました。

2時間待って、ようやく、
診察室へと案内されました。


病院の受付で
診察料の精算をすませると、
ママとパパの車は
鶴屋百貨店ではなく、
南阿蘇に向っていました。


...私が待っているからです。


「アリス、アリス...」


「大丈夫だよね...。
待っててくれてるよね」


「ママは、ママは...
おまえとみんなに守られて、
いい検査結果だったよ」


「だから、おまえも...」


「アリス...アリスー!」


「ママ、お帰りなさい」


「みなさん、ありがとうございました」


「みなさんのおかげで、
アリスはまた一命をとりとめました」


起き上がった私を見たとき...
顔をくしゃくしゃにして、
パパは泣くのをこらえました。


ママの声は揺れていませんが、
心の中では泣いていました。


親子だからそれくらい分かります。




南阿蘇では恒例の
「スターライトイルミネーション」
が始まりました。


その淡い光は、
かすかな希望にも見えました。


わたしの家族は昔から
クリスマスのお祝いが
いちばん好きだったわ。


クリスマスって魔法の季節よ。
そう思わない?

ターシャ・デューダー