シカが鳴いている | 続・阿蘇の国のアリス
8日午前1時46分頃、
阿蘇中岳で爆発的噴火が
発生しました。
噴煙は観測史上最高の
1万1千メートル。


「山が赤く光っていますが、
大丈夫ですか?」

すぐに、釣りキチ店長から
電話がありました。

「ここからだとわからない...」

山が近すぎて頂上が見えないのです。


その日は、
午後から南阿蘇の
「ボワ・ジョリ」さんで
ランチをして、
にせモンと、
イケメン店長が住んでいる
一の宮町に行きました。

町は火山灰に覆われていました。


「山が爆発した時、
僕は酔って
車の中で寝ていました。
危うく、焼豚になるとこでした」

夕方からは、
6時間の停電に
なってしまいました。


今日は、
「ボンジュール」さんで
ランチをしました。

阿蘇山も落ち着いています。


ママとパパは、
南阿蘇で一番大好きなカフェ、
「ボワ・ジョリ&ボンジュール」さんに
毎日でも来たいと思っています。


ここに来れば、
わたしが元気になるからです。


放射線治療に
100万円使うよりも、
ここで、100万円分使った方が、
わたしが元気になると信じています。


大好きな手作りパンを食べた後、
近くの羅漢山にゆきました。

「右目が明かない...。
独眼竜アリスと呼んでください」


「ピィーー!」

羅漢山を歩いていると、
シカの鋭い鳴き声が
静まりかえった草原の
しじまを破りました。


秋、繁殖期の
発情した雄ジカが、
雌ジカを呼んでいるのです。


はじめてシカに
出合ってから、6年...。
わたしたちはまだ
シカの交尾を見たことがありません。


わたしとパパは
いつか交尾の瞬間に
出合いたいと思っています。


そして、
生まれたてのシカを
捕まえたいとも思っています。


シカがまた鳴きました。

が、わたしは泣きません。