元気だからこそ | 続・阿蘇の国のアリス
嵐の夜、
僕は眠っている彼女を
いつのまにか、
強く抱きしめていました。

「どこにもいかないで...」


今から30年前の僕も、
寮に帰ろうとする
彼女の足にしがみつき、
やはり叫んでいました。

「帰らんでー!」

ほんとうに情けない男です。


今日、あるお店で、
マクロビ料理や、
マヤ暦を教える
先生に出会いました。


その時僕は思わず、
彼女がなぜ肺がんになったかを、
質問しました。

すると先生は一言、
「彼女が元気だからです」
と、答えました。


「元気だからこそ、
がんも元気に育ったのです。
がんにならない人は、
他の病気で苦しんでいます」

その言葉は
僕の胸にじわりと迫りました。


次の瞬間、
すべてが見えた気がしました。

そうか、
彼女はもともと
不整脈で、心臓も弱かった...。
それが、
自然の中で暮らすようになって、
どんどん元気になっていった。

そして
アリスという名の
またとない子にも出会った。

阿蘇という自然、
そしてアリスとの出会いは、
もともと弱かった彼女を、
どこまでも元気にさせ過ぎた
のかもしれません...。

もしそうだとするなら、
何だかほっとした
気持ちにもなります。