流れ星に願いを | 続・阿蘇の国のアリス
晴れた夜空には
天の川が流れています。

ママにとっては6年目の、
私にとっては、5年目の
南阿蘇の冬がめぐってきました。


真夜中の零時過ぎ、
私たちは流れ星を見るために、
阿蘇山の隣の山の
清栄山登山口まで走りました。


途中、たくさんの
シカの群れと出会ったり、
目の前にウサギが
飛び出してきたかと思ったら、
それを追いかける
キツネにも出くわしました。

登山口まで来ると、
空には覆いかぶさるように
無数の星がまたたいていました。

「何てきれいなんでしょう...」
ママが夜空を見上げながら
呟きました。

「さあ、流れ星を
たくさん見つけよう。そして、
たくさんのお願いをするんだ」

パパのかけ声で、
私たちの流れ星探しが
始まりました。


「ねぇママ、星が流れたら、
何てお願いするの...」

「アリスの気管支炎が
治りますようにって、
お願いするよ」

「じゃ私は、
ママの肺がんが
治りますようにって
お願いするね」

パパは、私とママの願い事を
交互に呟いています。

待つこと20分、
その時がやってきました。
大きな大きな流れ星が、
スローモーションのように
ゆっくりと山に消えてゆきました。

私とママは、
その美しさに見惚れてしまい、
願い事が言えませんでした。

しかしパパは、
ハッキリと言っていました。
「ママの肺がんが消えますように...」。