ときに、とてつもなく悲しいことが起こる。

それは、なんの前ぶれもなく、いきなり、目の前に現れる。

その場で大声で泣いてやりたいくらいだ。

 

しかし、そんなことができる勇気もない。

これを勇気と呼ぶのかはわからないが。

こんな時に自分ができることなんて、

いつもより下を向いて歩くくらいだ。

 

心の中では、悲しみが溢れていて、

心が悲鳴をあげているのに。

誰にも悟られないように、なんでもないような顔をして、

下を向いて歩く。

 

嗚呼そうか。

そもそも、私が下を向いて歩こうが、上を向いて歩こうが

誰も私を見ていない。

 

人間なんてそんなもんだ。

いつも自分のことしか見ていない。

どんな時でも自分が一番かわいいのだ。

 

悲しいことがあった今日。

今日くらい気が済むまで泣いたっていいだろう。

どうせ泣いても、笑っても明日はやってくるのだ。

明日なんてこなくてもいいのに・・・といくら願っても

必ず明日はやってくる。

 

だから今日だけ泣こう。

気が済むまで泣いてやろう。

枯れるまで泣いてやろう。

きっと涙は枯れないし、枯れることがあったとしても

そんなことになる前に、眠ってしまうのがいつものオチだ。

 

泣くのは今日だけ。

 

明日も、今日と変わらず、今までと変わらず、

生きていかなければならないのだから。