少し前からゲームセンターが流行っていた。
それとも、ゲームセンター自体は、もっと昔からあったのかも。
わたしたちが、ゲームセンターが気になる年頃になったというだけなのかもしれない。
それとも、ゲームセンター自体は、もっと昔からあったのかも。
わたしたちが、ゲームセンターが気になる年頃になったというだけなのかもしれない。
渋谷駅のそばに新しくできた大きなゲームセンターは入り口で身分証明書を見せなければならなかったので、一度追い返されてからは近寄れなかった。
わたしは、どうしてもゲームがやりたかった。
小学生の頃に夢中だったインベーダーゲームはもう流行遅れで、もっと高度な技術を必要とする複雑なゲームが増えていた…。
わたしは、どうしてもゲームがやりたかった。
小学生の頃に夢中だったインベーダーゲームはもう流行遅れで、もっと高度な技術を必要とする複雑なゲームが増えていた…。
わたしの家のすぐ近くの雑居ビルの一階に、ショボくれたゲームセンターができた。
前はスナックだった。
元から店舗用でガラス張りになっている部分のカーテンが、全部外されていた。
中では、大学生くらいの男の人が、店の奥のカウンターで暇そうにマンガを読んでいるだけだった。
数日後に店の前を通ると、どこかから湧いてきた小学生が十人くらいで、一台のテーブルを取り囲んでいた。
みんな同じショルダーバックを肩からかけていて、押し黙って、眩しそうに目を瞬かせ、とても真剣にテーブルのガラス板の下のディスプレイを見ていた。
前はスナックだった。
元から店舗用でガラス張りになっている部分のカーテンが、全部外されていた。
中では、大学生くらいの男の人が、店の奥のカウンターで暇そうにマンガを読んでいるだけだった。
数日後に店の前を通ると、どこかから湧いてきた小学生が十人くらいで、一台のテーブルを取り囲んでいた。
みんな同じショルダーバックを肩からかけていて、押し黙って、眩しそうに目を瞬かせ、とても真剣にテーブルのガラス板の下のディスプレイを見ていた。
小学生が入れるのだから、わたしも入れるだろう。
わたしは、ますますそこに入ってみたくなった。
けれど、繁盛していない店特有の暗い雰囲気に怯んでしまう。
それからも数日、店の前をうろついて、諦めきれない気持ちのまま帰った。
わたしは、ますますそこに入ってみたくなった。
けれど、繁盛していない店特有の暗い雰囲気に怯んでしまう。
それからも数日、店の前をうろついて、諦めきれない気持ちのまま帰った。
香奈が一緒なら、臆することなく入れたはずだ。
わたしと香奈は、中学一年のときにお互いが牛丼未体験とわかって、牛丼屋突入作戦を決行したことがある。
わたしと香奈は、中学一年のときにお互いが牛丼未体験とわかって、牛丼屋突入作戦を決行したことがある。
日曜の午後を選んで、とうとう店に入った。
店は、外から眺めていたのと同じで薄暗く、大きな柄を施した壁紙や赤いカーペット敷きが、スナックの雰囲気そのままを漂わせている。
声が低そうな店番のお兄さんは何も言わなかったし、わたしにすら気づいていないようだった。
店は、外から眺めていたのと同じで薄暗く、大きな柄を施した壁紙や赤いカーペット敷きが、スナックの雰囲気そのままを漂わせている。
声が低そうな店番のお兄さんは何も言わなかったし、わたしにすら気づいていないようだった。
財布から千円札を出して、両替機に入れた。
『五百円玉は両替しません』と書かれた紙が、セロハンテープで張り付けてある。
わたしにはまだ、五百円玉が回ってきていなかった。
発行された日に、父が、わざわざ銀行の窓口に並んで両替してきたと、ピカピカする大きな硬貨を見せてくれただけだ。
「千円の両替で、これ二つを、ぽんって返されると、損した気分になるわね」と、母が言った。わたしは、ゲームセンターのコインみたいだと思った…。
『五百円玉は両替しません』と書かれた紙が、セロハンテープで張り付けてある。
わたしにはまだ、五百円玉が回ってきていなかった。
発行された日に、父が、わざわざ銀行の窓口に並んで両替してきたと、ピカピカする大きな硬貨を見せてくれただけだ。
「千円の両替で、これ二つを、ぽんって返されると、損した気分になるわね」と、母が言った。わたしは、ゲームセンターのコインみたいだと思った…。
店には、他のお客さんがいなかった。
せっかく周囲の目を気にせずに存分にゲームができる機会なのに、新しい種類のゲームは、ただ眺めるだけだった。
小学生の頃によくやったシーソーを使って空中の風船を割るゲームがやりたかったが、そこにはなかった。あのゲームの音楽が好きだった…。
そこにあるゲームは、すべてガラス板のテーブルの中にディスプレイが組み込まれている台で、複雑な動きをする宇宙船で蛾のように飛んで来る敵を撃ち落とす新しめのと、花札と、麻雀と、ポーカーと、そんな感じのものばかりだ。
せっかく周囲の目を気にせずに存分にゲームができる機会なのに、新しい種類のゲームは、ただ眺めるだけだった。
小学生の頃によくやったシーソーを使って空中の風船を割るゲームがやりたかったが、そこにはなかった。あのゲームの音楽が好きだった…。
そこにあるゲームは、すべてガラス板のテーブルの中にディスプレイが組み込まれている台で、複雑な動きをする宇宙船で蛾のように飛んで来る敵を撃ち落とす新しめのと、花札と、麻雀と、ポーカーと、そんな感じのものばかりだ。
根性なしのわたしにできるのは、麻雀だけだった。
わたしはテーブルの前に行き、ぴかぴかに磨き上げられたスチールパイプの丸椅子を引いて、薄いビロードのクッションに腰掛けた。
わたしはテーブルの前に行き、ぴかぴかに磨き上げられたスチールパイプの丸椅子を引いて、薄いビロードのクッションに腰掛けた。