読書術(加藤周一) 光文社文庫

 

加藤周一は、1919年生まれ。評論家、小説家、医学博士。

この「読書術」は、彼の有名な古典的作品である。

 

私は、この本を読んで、以下の3点が印象に残った。

 

①   本を読まなくても、書評を読めば、その本の傾向はわかる。読書の代用になる。

 

②   外国語の本を読む場合、語学的には文学書が大部分の専門書より、はるかに難しい。文学は個性的な文体があり、言い回しが凝っている。いずれにしても、英語の場合、文学を読むために必要な知識と、文学以外のものを読むために必要な知識との間に大きな隔たりがある。

 

③   楽しみのための読書、ことに文学書の場合、日本文学で満足する。それを外国文学で補う場合には、主として偉大な小説家の日本語訳を読んで済ませる。これが、多くの人々にとって、外国語の本に対する一番合理的な態度ではないかと思う。

 

(感想)

私は、毎月1回のスカイプによる読書会に参加しており英書の輪読会をしている。私自身、学生時代から英語が好きで、いわゆる「出来た」方なのであるが、それでも今読んでいるポール・オースターの本は難しいと感じる。

 

月に1回だからよいが、それでも準備に相当時間をとられる。人生の残り時間を考えると、加藤周一のいうように、英語の文学書は翻訳で楽しんだ方が楽だと、つくづく感じる。