今日の出来事。
それは本来先週到来するはずだったもの。
もしかしたら入社したときから待っていた、と言ってもけして差し支えないのかもしれないもの。
まるでお預けを命じられた犬のように、ただただ舌なめずりをしながら今日という日を待っていたのかもしれません。


ボク達が待ち続けたもの、それは配属先の決定です。
本来は、先週の水曜に決定するはずだったのですが、どうやらお偉方の会議で全員分の配属先が決まらなかったらしく、次週に持ち越しとなりました。

一週持ち越しになり、ボク達の焦がれる思いは一層強くなりました。
胸が締め付けられんほどの焦燥の気持ち。
しかしその一方で、結果を知りたくないという相反する思い。
はやく知りたいという気持ちと知りたくない気持ち、この心の葛藤が溶け合って絡み合う・・・
形容し難い心持での一週間でした。


その間、会社内では様々な情報が錯綜しました。
どこそこの事業所は今年は何人とるだとか、こういう人材を欲しがっているだとか、信憑性のあるものから憶測だけの情報まで実に様々だ。
そしてそんな情報の一つ一つに、同期内では驚愕や嘆きの声が上がるのだった。


そういった情報発信源はいつも同じ。
会社の喫煙室である。
同期の喫煙者は、喫煙室で所属長や事業所のお偉いさんと話をする機会があるのだ。
喫煙室は、煙草を吸うものにとっての休憩室。
そんなリラックスできる空間だから、自然と口も軽くなるのかもしれない。
何気ないボヤキから、重要事項まで聞くことが出来る秘密の花園、それが喫煙室なのだ。


情報が黄金の価値を持つこの時代、淘汰されてきている喫煙者が肩を寄せる場にこそ、黄金の情報が溢れているとは何とも皮肉なものだ。
今は世界的に禁煙ブームであるが、それがむしろ喫煙者間の連携や結束を強めているのかもしれない。
喫煙室では普段は絡む機会の無い人間とも絡むチャンスが生まれる。
新たな「何か」を発見できるかもしれない。
そう考えると、煙草もあながち害をなすものとは言い切れないかもしれない。


そんな喫煙室情報を喫煙者からまわしてもらい、認めたくない恐ろしい事実までわかってしまった。
東京本社の配属は今年は無いらしい。
同期の半数が東京本社希望なので、この情報には電撃が走った。
骨が透けて見えるくらい、黒焦げになってアフロヘアーになるくらいのすさまじい衝撃だった。
ボクも東京を希望勤務地に挙げていたのでこの情報には驚いた。
一体どうなるのだろう、と先行きが不安になったものだ。


ボクは勤務希望地を東京と関西で出していた。
まかり間違っても鹿島に行くのは御免こうむる。
先日鹿島事業所に見学に行ったが、まわりには本当に何も無かった。
ボクの地元も田舎だが、それをはるかに凌駕するレベルであった。
最強レベルの田舎オーラが前面に漂っていた。
こんなところで休日なにをすればいいんだ・・・


しかし事前情報を集め、誰がどこに配属になるかと考えれば、悲しいかなボクもしっかり候補者なのだ。
とにかく、絶望しないようにただただ冷静に鹿島に行っても構わない覚悟だけは決めておく。


配属先の候補は鹿島、尼崎、此花、淀屋橋、和歌山、小倉の6箇所。
冷静に判断すると、ボクは鹿島か和歌山のどちらか。
どちらも周りに何も無い僻地で、車がなければ生活も成り立たない場所だ。
どう考えてもこの二つが現実的で妥当なボクの配属先なのだ。

どっちに行ってもいいよう、覚悟を決めておいた。
そしてその結果・・・!


・・・長くなったので続きは次回。