まだ2つかそこらの頃から、やたらと滑舌のよかった長男。


 その長男の発音に慣れていた所為か、次男の言葉が聞き取れないことが、実は未だに時々ある。


 次男はもう5歳になるのだが、舌足らずなのか歯並びの問題なのか(顔が小さい割に、歯だけは何故か永久歯並みの大きさの乳歯な為、欠歯と癒合歯だらけなのだ)発音がイマイチ不明瞭なことが多いのだ。



 ……一方で。


 私は、といえばうっかり聞き間違えをすることが、少なからずある。


 スイッチの入っていない時は、ぼーっとしていることが原因かも知れないし、せっかちな所為もあるのだろうと思う。




 先刻はこんな聞き間違えをした。



次男 『ママに、上手に出来たから車あげるねー』


私 『ありがとう♪嬉しいよ』


次男 『車には、マンゴーって書いてあげるね!!』




 ……は?


 ……ま、マンゴー??(汗)



 それってどんな車なんでしょう???(悩)




 ここでうっかり訊き返すと、自分はきちんと話しているつもりの次男は、拗ねモードに突入する。


 この拗ねモード……反抗期の影響も相まって、実に面倒なことこの上ない。




 ここは、ハッキリと訊き返すことなく、尚且つ次男の言葉を正確に捉えられなければならない。




私 『そっかー、ありがと♪ところでマンゴー(ちょっとゴニョゴニョ口調で発音する)って書くの……?』


次男 『マンゴーがいいかなぁ……1でも2でもいいからね!好きなの教えてね!』




 ――どうやら正解は『なんごう(何号)』だったようで。


 いや、確かに車だしねぇ……おかーさん、痛車でも作ったのか(そんな筈あるわけない)と思ったよ。






 昨日は、長男と次男とのやりとりでこんなものも。




次男 『行け!へっぽこりゅうわぅにーる!!





 ……へっぽこ?(汗)


 ……へっぽこりゅう、って……(悩)



 へっぽこ流?


 へっぽこ竜??



 これまた何のことやら分からない。


 しかし長男には伝わっているらしく、防御だの攻撃だのを『ドガーン!ブスッ!ズガガガ!!ドーン!!』と、二人して忙しくけたたましく繰り広げている。



 傍で聞いている私は、もう次男の『へっぽこ』発言で頭がいっぱい。


 そこへ、更に次男が追い打ち。



次男 『しっぽくりゅうわぅにーるのターン!!




 ……しっぽく。


 ……卓袱?んな訳ない。



 ここで、多分先の『へっぽこ』もへっぽこではないのだろうと判明。


 しかしへっぽこがしっぽくに変わったところで、聞いている私には何が何やら(汗)




 脳内大混乱な私の横へ、いつの間にか来ていた長男が一言。



長男 『前にも教えたでしょ、漆黒竜だよ!』


次男 『ひっこくりゅう……しっこくりゅう……』


長男 『そうそう、漆黒竜』




 頭の中で、ゆるそうな表情でだらーんとしていた竜(なんとなく流派ではないようなとは気付けた)が、漆黒の、いかにも強そうな厳かな姿へと変化。





 ごめん、ホントに漆黒竜……(滝汗)





 ここまでつらつら思い返して、ふと思う。



 これは次男の発音がーと思っていたのに。


 夫とも常々悩んでいたのに。


 長男はしっかり聞き取っていた……!!





 普段、本当にほんとうにホントーーーーッッに、人の話を聞けない人なのに……。


 学校でも習い事でも、ダントツでそこを注意される人なのに……。






 これは兄弟愛なのかしら?


 それともゲーム愛?


 後者はちょっと、泣けるので却下したいところである。