私は温泉地 派!
人間なのに『まるで変温動物だね』と夫から笑われる私は、暑いところが苦手だ。
一定以上の気温の下で過ごすと、常に身体の中に熱がこもったような状態に陥ってしまう。
その為。
南国で見られる、目の覚めるような碧い海は、直接見たいと思いつつも、現地へ足を運ぶ気が起きず、写真を眺めて終わってしまうことが多い。
景色をぼうっと楽しむことは好きだけれど、あまりアクティブに動くことを楽しむ性質でもないので、南の島――という響きからうける、華やかで活き活きとしたイメージは、どうにも気後れしてしまう。
かつて一度だけ、社員旅行で訪れたグアムで。
眠ることも寄りかかることも出来ないような、酷い日焼けをした記憶も、南の島に進んで行きたいとは思わない原因の一つかも知れない。
けれど、温泉地は別。
こちらも、そう長いこと浸かってはいられないけれど、露天風呂などを選べば、顔や頭はすっきりとさせたままで、温かなお湯のぬくもりだけを、気の向くまま楽しむことが出来る。
まだ体験したことはないけれど、雪景色を眺めながらの露天風呂もいいだろう。
もっとも、あまり脱衣所から距離があると。
私の体質では、湯船に辿り着く前に、凍えて動けなくなってしまいそうだけれど。
ここ数年は。
温泉地に行ったところで、常にドタバタ。
時間を忘れてまったりのんびり――とは、とても縁のない、忙しい入浴であることが殆ど。
それでも、子供を寝かしつけてから、一人で夜空を見上げながら。
早朝に起きだして、朝の清々しい空気の中で。
ほんのひと時、雑事を頭から追い出して、ゆったりと過ごしたくなるのが、私にとっての温泉地である。