成人の日の思い出 ブログネタ:成人の日の思い出 参加中



 華やかな振袖を横目に見ながら。


 友人と二人して普段着で、ひたすら池袋の街を徘徊していた。


 なんでこんな日があるんだろうね、と話しながら。



 それが、成人した証として行われる式だとするなら。

 もっと厳粛なものでもいい筈なのに。

 まるでお祭り。地域によっては、それを通り越したバカ騒ぎ。


 そんなの、別に出なくてもいいよね――そう言いながら、本音ではお互い違っていた。



 地域ごとに区切られた式では。


 互いに、会いたい友人などいなかったから。

 昔を懐かしみながら、談笑したくなるような相手など、そこにはいなかったから。

 どうせ記念の日だというなら、気の置けない友人同士、二人で楽しく過ごしてしまえと。

 ……けれど。


 制服から卒業してしまえば。

 同い年、なんて全然見た目で分かるものではないのに。

 あの日ばかりは、一目で自分と同い年であることが分かって。

 そんな中、普段着であてもなくただフラフラと。

 気の向くままに歩いていた私たちは、ひよこの集団に埋もれた、うずらの雛のようだった。

 同じ鳥なのに、違っていて、馴染めなくて。

 楽しく会話を続ける中。

 ほんの少しだけ混じっていた"溶け込めなかった寂しさ"は、きっとお互いの中に厳然と存在していた。

 あの頃から、もう一回り以上の年が過ぎてしまった。

 それでも毎年、連れ立って歩いてゆく艶やかな晴れ姿を目にするたびに。

 今でも、チクリと胸に刺さる何かがあるのは、あっという間に通りすぎてしまった、遠い日に対する感傷かな。