全181話のCAMINO DE SANTIAGO

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CAMINO DE FISTERRA

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海月漂流記-Fisterra

08/14 カミーノ歩き旅 36日目の出来事 その8








海月漂流記-Fisterra

スペインの最西端


灯台よりも岬の先に


小さな十字架がある台座の下には


ひっそりとヤコブの姿も



海月漂流記-Fisterra

そして現代巡礼者のパートナー


靴のオブジェ


その後ろの塔に皆


靴や衣服など自分と供に旅したものを


結びつけている場所があった


海月漂流記-Fisterra

供に旅した靴を正にその場に結び付けている


オバサンがいた


だが・・・振り向いた顔は不満そうだ


そう・・・・かつては


この地で身に着けていた衣服を燃やし


過去の古い自分に別れを告げるなんて


儀式めいたことをするのが


巡礼者の恒例の・・・はずなのだ・・・


オバサンも


「この場所でキャンプファイヤーみたいに


皆で火にくべるんだと思ってたわよ!」と・・・


だが・・現実は


いたるところに「NO FIRE!」のサイン


ま・・・何か過去に騒ぎでもあったのかも


しれないけれども・・・




置いてきぼりじゃ・・・


生まれ変わりは・・・


ないわなぁ~



海月漂流記-Fisterra

しばらくそんなことを考えながら


三日月を眺め


道中買っておいた


シガリロに火を灯し



海月漂流記-Fisterra

流れていく雲を眺めながら


この3日間


サンチャゴを出発して以来


ずっと道中、悩んでいたことを


実行に移すか・・・否か・・・


自己問答をしながら


悶々と




ただ煙だけを


しばらく漂わせていた







手をポケットの中にいれ


揺れる心と供に忍ばせてきていた


モノの存在を確認しながら・・





ただ・・・時だけが雲と供に


流れていく


揺れる心と対照的に


しばらくその場から


動くことは出来なかった







一度・・ビーチを歩いている時に


決心を固めた筈だったのだが







たかが・・・



されど・・・







いっそ・・・風にまかせ


海へ


そんなことをボンヤリ考えはじめていたころ






空は闇夜の前の赤みを増し


力強く輝きを増し始めた


三日月の横に


一番星の金星が現れ


コンポステーラの幕が


いままさに頭上に開こうとし始めた


その時に









海月漂流記-Fisterra

数人のグループが炎を上げた




気が付けば




その周囲でもいくつかの炎があがっていた


この時しかないと想い




一番近くにいた見知らぬ巡礼者達に


私も燃やしたいものがアルと伝え


男女4名の輪に加えてもらい


しばらくは彼らが順に燃やしていく


旅の供が炎に飲まれ


空に昇っていくのを見つめていた





一通り彼らの過去がカタチをなくしたころに


一人の巡礼者が


カメラ以外に手ぶらの私を見つめ


「ドコからきたのか?」


「何を燃やすのか?」と問いかけてきた





最初の質問には


「EAST END OF ASIA」と答え


2番目の質問には


ポケットから取り出したモノを見せた






巡礼者の一人は


「クレイジー」と言い


「オマエはモスリムなのか?!」


「それはダメだ!」


「それは燃やすものじゃない」


などと・・・口々に引き止められた


お約束の・・オーマイなんて言葉も口にしながら


皆、首を横に振る





私に迷いは無かった


私が彼らに答えたのは


「JUST A PAPER」







ただの紙切れ・・・・






「ハラキリ」





「NO!NO!NO!」





迷いはもう無かった



「WAIT!」




「STOP!」




「NO!」



「WHY?!」


「Oh、My・・・」






海月漂流記-Fisterra


僅か数秒で


コンポステーラは


宙の天の川へと


煙と化し昇っていった




不思議なもので


このカットを撮ったあとで


もう1枚


炎に飲まれるコンポステーラを


連写で記録しようとしたが


カメラのバッテリーが切れていた




何かがその時に


やはり死んだのかもしれない




宙へ昇る、煙を見上げたあとに


その場にいた巡礼者に


礼を述べると


一人の巡礼者が


「サムライ」と握手を求めてくれた




どうやら・・・生まれ変わりの地で


私は・・サムライとやらに転生したらしい・・・




ただ・・・1枚の紙を


炎に入れただけのことなのだが


それは確かに私にとっても


彼らの抱くコンポステーラへの


想いや意味とは大きく違うものでは


あるのだが



月と金星が輝く元での


ゼロポイントの少しだけ先で実行した

一つの決別の行為であったことは


間違いない








DAY38-9 ゼロポイント  へつづく

注意05/28 21時公開注意




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