通勤電車には様々な顔がある。
それは、決断の時でもあるのだ・・・・
昔からよく見かけるが、座席に座って、あわててお化粧している女性がいる。
今朝もそういう人を見かけた。きれいな女の子で、芸能人みたいな顔をしていて(顔は、である)、化粧しなくてもいいくらいだったが、やはりお肌の曲がり角。手を抜いてうっかりしていると、手が付けられなくなるのが難しいところ。
しかし、これが満員電車で立ってでもやっている人を見ると、何もそこまでしなくても・・もう30分早く起きろよ・・と思う。
あと、すでに化粧しているのはいいが、においの強いおばちゃんだ。おばちゃんは若い女の子と違う香水をわざわざ選ぶわけだ。私はよくわからないが、若い子が付けているのと同じのを年寄りが付けたらおかしいのだろうか?それとも年老いた体臭が相まって、同じ香水でも違うにおいになってしまうのだろうか?それとも私の先入観念だろうか?
最悪なのは、化粧の濃い男だ。つまりおかまだ。しかし幸いなことに、朝の通勤電車では会ったことがない。夕方の銭湯であったことはあるが・・(全然幸いじゃない!)
あんまり混んでいない電車で、立って、口紅を付けていた女性がいた。
ところが、電車が急停車!
口紅が、ズボッとその女性の鼻の穴に入ってしまった瞬間を見たことがある。なんか本でも読んだことがあったが、実際の光景を見たのは初めてだった。
笑いをこらえた。女性と視線が合わないようにした。女性はおもむろにティッシュを取り出して、何事もなかったかのように拭きながら、私の方をちらちらとみていた。(ばれたか、気づいていたことを)
ここで、何らかの反応を見せてあげれば、もしかして、ロマンスが芽生えたかもしれないのだ。・・・
ズボッッ!!!!
「くくっ!ふふふ・・」笑いをこらえる私、口紅が鼻についた女性と視線が合ってしまう。女性も気まずそうに微笑む。
「あ、いや、すみません。笑うつもりじゃなかったんですが・・・」
恥ずかしそうに下を向く女性。バッグの中のハンカチを探すが、なかなか見つからない。
「あ、これをどうぞ」ハンカチを差し出す私。
あわてて女性が「あ、すみません!」と、ハンカチを手にとって、自分の鼻を拭く。しかし、はっと気づく。
「すみません!わたし、あわてて、自分のハンカチ出せばいいのに・・」
「いや、いいんですよ。困ったときはお互い様ですよ」
「え、でも、このハンカチ・・」確かにハンカチは口紅で真っ赤である。
「安物ですから」
「でも、イブサンローランの・・」
「ええ、イブサンローランのウエットドライ・ハンカチーフ、エア・ジョーダンスペシャルなんです。一枚1万2千円くらいしかしませんから」
「ええ?嘘!」
「いや、だから、ジョーダンです・・」
「ぷっ!」
と、偶然のしゃれに、彼女も吹き出す。私も思わず笑顔で照れ笑い。
「でも、これ、クリーニングに出して、返しますから!」
「気にしないでください」
「それじゃ、あたしの気が済みません」
こうして、彼女は、私のイブサンローランのウエットドライハンカチーフ・エアジョーダンスペシャルと、携帯の番号を持ち帰った。
金曜日の夜、彼女から電話があった。
明日朝、有楽町で会いましょうというのだ。
ハンカチが結んだロマンなのだろうか。
土曜日の朝、有楽町で待つ私。
10分、15分・・・
30分たっても彼女は来なかった。
こんなものかな?ふとした期待を抱いた私が間違いだったのかもしれない。ビックカメラでもみて帰るか。一人で苦笑いをしながら、ふと足を動かした瞬間、
「Alakinさん!」
向こうから走ってくるのは彼女だった。
「すみません!遅くなっちゃって、もう、目覚ましが鳴らないんでお化粧もする暇なくて!」
ハアハア息をつく彼女の鼻の穴は、
真っ赤な口紅で極太に縁取られていたのだった・・・
それは、決断の時でもあるのだ・・・・
昔からよく見かけるが、座席に座って、あわててお化粧している女性がいる。
今朝もそういう人を見かけた。きれいな女の子で、芸能人みたいな顔をしていて(顔は、である)、化粧しなくてもいいくらいだったが、やはりお肌の曲がり角。手を抜いてうっかりしていると、手が付けられなくなるのが難しいところ。
しかし、これが満員電車で立ってでもやっている人を見ると、何もそこまでしなくても・・もう30分早く起きろよ・・と思う。
あと、すでに化粧しているのはいいが、においの強いおばちゃんだ。おばちゃんは若い女の子と違う香水をわざわざ選ぶわけだ。私はよくわからないが、若い子が付けているのと同じのを年寄りが付けたらおかしいのだろうか?それとも年老いた体臭が相まって、同じ香水でも違うにおいになってしまうのだろうか?それとも私の先入観念だろうか?
最悪なのは、化粧の濃い男だ。つまりおかまだ。しかし幸いなことに、朝の通勤電車では会ったことがない。夕方の銭湯であったことはあるが・・(全然幸いじゃない!)
あんまり混んでいない電車で、立って、口紅を付けていた女性がいた。
ところが、電車が急停車!
口紅が、ズボッとその女性の鼻の穴に入ってしまった瞬間を見たことがある。なんか本でも読んだことがあったが、実際の光景を見たのは初めてだった。
笑いをこらえた。女性と視線が合わないようにした。女性はおもむろにティッシュを取り出して、何事もなかったかのように拭きながら、私の方をちらちらとみていた。(ばれたか、気づいていたことを)
ここで、何らかの反応を見せてあげれば、もしかして、ロマンスが芽生えたかもしれないのだ。・・・
ズボッッ!!!!
「くくっ!ふふふ・・」笑いをこらえる私、口紅が鼻についた女性と視線が合ってしまう。女性も気まずそうに微笑む。
「あ、いや、すみません。笑うつもりじゃなかったんですが・・・」
恥ずかしそうに下を向く女性。バッグの中のハンカチを探すが、なかなか見つからない。
「あ、これをどうぞ」ハンカチを差し出す私。
あわてて女性が「あ、すみません!」と、ハンカチを手にとって、自分の鼻を拭く。しかし、はっと気づく。
「すみません!わたし、あわてて、自分のハンカチ出せばいいのに・・」
「いや、いいんですよ。困ったときはお互い様ですよ」
「え、でも、このハンカチ・・」確かにハンカチは口紅で真っ赤である。
「安物ですから」
「でも、イブサンローランの・・」
「ええ、イブサンローランのウエットドライ・ハンカチーフ、エア・ジョーダンスペシャルなんです。一枚1万2千円くらいしかしませんから」
「ええ?嘘!」
「いや、だから、ジョーダンです・・」
「ぷっ!」
と、偶然のしゃれに、彼女も吹き出す。私も思わず笑顔で照れ笑い。
「でも、これ、クリーニングに出して、返しますから!」
「気にしないでください」
「それじゃ、あたしの気が済みません」
こうして、彼女は、私のイブサンローランのウエットドライハンカチーフ・エアジョーダンスペシャルと、携帯の番号を持ち帰った。
金曜日の夜、彼女から電話があった。
明日朝、有楽町で会いましょうというのだ。
ハンカチが結んだロマンなのだろうか。
土曜日の朝、有楽町で待つ私。
10分、15分・・・
30分たっても彼女は来なかった。
こんなものかな?ふとした期待を抱いた私が間違いだったのかもしれない。ビックカメラでもみて帰るか。一人で苦笑いをしながら、ふと足を動かした瞬間、
「Alakinさん!」
向こうから走ってくるのは彼女だった。
「すみません!遅くなっちゃって、もう、目覚ましが鳴らないんでお化粧もする暇なくて!」
ハアハア息をつく彼女の鼻の穴は、
真っ赤な口紅で極太に縁取られていたのだった・・・

