化粧品価格の内訳は、製造原価、宣伝費、開発費、
販売経費(人件費)などからなっています。
もちろん、化粧品の種類によっても違いますが、
たとえば定価1万円の化粧品があったとしますと、
製造原価はおよそ4~5%といわれています。
つまり定価1万円の化粧品なら、製造原価はおよそ400円~500円・・
ということになります。
化粧品製造メーカーは本当にボロもうけです。
しかも化粧品そのもの、つまり化粧水や美容液そのものの製造原価よりも、
容器代の方が高いのがふつうです。
500円の製造原価のうち容器代の方が高いのですから、
化粧水そのものの値段は推して知るべしです。
さて、その500円の化粧品がなぜ1万円になってしまうのか、考えてみます。
その秘密は「化粧品の流通過程」にあります。
化粧品はその流通過程と商品コンセプトから、
「セルフ商品」と「制度品」の2つに大きく分けることができます。
「セルフ商品」は、製造工場から本社、問屋、小売店と流れていく
ごくふつうの流通形態です。
セルフは利益率が少なく、安い化粧品はたいていこの「セルフ商品」です。
ドラッグストアの化粧品棚で、並んでいる商品を消費者が
勝手に買い物かごに入れて買っていく、そんな化粧品ですね。
「制度品」は、化粧品業界にとって主力の流通形態です。
典型的な例でいいますと、デパートの1階に化粧品販売員が常駐し、
「何かお探しですか?」といって対面販売をする、あの流通形態です。
「セルフ」に比べると単価がはり、化粧品メーカーの顔とも呼べる
商品ラインナップがそろっています。
制度品の化粧品は、工場で生産した後、本社へ納品され、
そこから販売会社へ渡り、さらに小売店へと運ばれていきます。
さきほどの1万円の化粧品の例でいいますと、工場が500円の経費で造り
2000円として本社へ、本社は6000円として販売会社へ、
販売会社は1000円のマージンをのせて小売りへ7000円で納品します。
それを小売りが1万円で一般のお客さん、つまり消費者へ売るわけです。
整理しますと、一般的には
製造工場 製造原価500円 売価2000円(もうけ1500円。約15%)
メーカー本社 仕入値2000円 売価6000円(もうけ4000円。約40%)
販売会社 仕入値6000円 売価7000円(もうけ1000円。約10%)
小売店 仕入値7000円 売価1万円(もうけ3000円。約30%)
消費者 買値1万円 (高い!)
たった500円の化粧品が、制度品の流通過程を経ていくだけで、
1万円になってしまうのです。化粧品ってボロいもうけですねえ。
本社の取り分が40%と多いですが、本社はテレビCMや雑誌広告を
派手に打たなければなりませんから、宣伝経費もだいぶん含まれています。
大筋の仕組みはこんな感じですが、化粧品業界には「バックマージン」という
特徴的なシステムがあり、これが化粧品業界をわかりにくくしています。
メーカー本社は小売店に対し、「毎月の仕入額」にみあう「バックマージン」を支払っているのです。
化粧品メーカー本社が、小売店の毎月の仕入額に対し支払うマージンは
最高で15%、ふつう7~8%くらいです。
1万円の化粧品でいえば、700円から800円がバックマージンとして
小売店に還元されるわけです。
小売店にしてみれば、バックマージンを含めて仕入額を考えると
6200円で仕入れられることになります
(本来の仕入れ7000円-バックマージン800円)。
それでも「20%、30%引き」みたいなセールを小売店が行えば、
小売店自身のもうけがほとんどなくなってしまうことが
おわかりいただけるでしょう。^_^;