著者が前書きにあたる『幕前の口上』の中でどこかで聞いた話として紹介しているのが……
「人間、25歳までに知り合った人、経験したこと、学んだことが人生を決めるんだそうです」
人生を決めるかどうかはともかく、確かにこの時期は影響力が大きいんだよなぁ。特に、この頃に与えられた試練を、まずは対峙してから判断するか、面倒だからと対峙しないで最初から逃げるかで、後々の人生で違ってくるのは確かです。
著者の師匠である植木等さんが語った、ザ・ドリフターズとクレイジーキャッツの違いについて……
「ザ・ドリフターズはリーダーのいかりや長介だけが大人で、クレイジーキャッツはリーダーのハナ肇だけが子供だった」
言われてみれば確かに!
師匠の優しい配慮により、著者が「付き人を辞め、ひとり立ちして、渡辺プロと正式に契約したのが昭和43年1月1日です」
……って、偶然にも筆者の生年月日と一致。これって、何かの縁かしら?
著者の淀川長治モノマネ芸誕生秘話は、一読の価値あり。
昔は国民的な正月番組といえば「新春かくし芸大会」だったが、打ち切りになるほど視聴率が低迷していった理由は……ここでは、書けないなぁ。
最後にもう一つだけ……
最初で最後となってしまった著者と師匠との対談企画で、締めくくりとなった師匠の言葉を紹介。
「結局親が子供に対して、説教する時間なんて決まっているわけじゃないんだから、親のどんな行為が子供に対して教育になっているのかということは、これはもう働いている姿を見せつけるに尽きる。やっぱり、ある道を職業と決めたら、その人なりの色んな段階があって、『よし、これでいこう』となれば、がむしゃらに一生懸命生きるわけですね。それを小松に見せられたというのは、これは何も説明しなくても一番良い教育になったと思うんですよ」
こういう立派な人に、憧れるなぁ。