数日前、写真家 藤原新也の講演を聞きに行ってきました。
この頃の活動をまったく知らないながら、大学生の時に読んだ本の印象がいまだに鮮やかで、懐か
しくて。特に「印度放浪」は強烈でしたねぇー。パワフルな写真と文章を通じてインドの濃密な
文化と世界を知った私、どうしても行ってみたくなって卒業旅行先をインドにしちゃったほど
でしたから。

藤原さん、御歳70歳。
髪こそ真っ白だけど、表情がきりっとして若々しい。

この日のお題は作品を発表してきたメディアの変遷と表現について。
押しも押されぬ人気写真家として精力的に作品を発表してきた藤原さんですが、XXトリーの広告
でテーマにされたシルクロードがあまりにも美化されているのに「本物のシルクロードはこんな
生やさしいもんじゃない」と反発、XXトリー広告のパロディを制作したところ、雑誌界から
締め出しをくらってしまう。

それから地下鉄のフリーペーパーでのエッセイ連載などの模索を経て、いまは有料会員制ウェブ
サイトをご自身で運営。雑誌にはない即時性、双方向性コミュニケーションの強みを活かしながら
情報を発信し、かつ取材に必要な費用を捻出しているそう。昨年の香港学生運動の際は一人で香港
に乗り込み、撮った写真をその日のうちに選んでキャプションをつけて夜中にはサイトにアップ、
という毎日だったとか。

そのエネルギッシュさにも発想の柔軟さにも唸らされました。
ちなみに60歳で船舶、65歳で自動車の免許をとり、なんと70歳でスノボを始めて目下はまって
いらっしゃるそうです。「難しい、できなさそうなことだからこそ面白い。5年後には上手に
なっていますよ」と笑う姿が清々しかった。
やりたいことにあふれているけど決してぎらぎらしていない。少年みたいな方でした。