昔はキレイだった海がいまは大変なことになっている!

パールちゃんが昔のようなキレイな海にする大冒険がはじまる。

 

 

 

「パールちゃん最近、なんだか海が汚れたねぇ」

「そういえば、海の水が美味しくないねぇ」


「ゴミやオイルのせいかな?昔は海もキレイで、水もすごく美味しかったのにね」

「あ、そうだ忘れてた!今日はおじいちゃんのところに行くんだった。タコさん、ヒトデくん、さかなクンまたね~」


「おじいちゃん、こんにちは~」
「けほ、けほ、ああ、パールか」
「おじいちゃんどうしたの?」
「汚れた水を飲みすぎたのか体調がすぐれないんだよ」


「それは大変だね。おじいちゃん、海の水をキレイにするのにはどうしたらいいの?」
「そうだパール、山の上にこの苗木を植えてきてくれないか?そしたらきっと昔みたいにキレイな海になる」
「おじいちゃん、そうなの?良くわからないけど苗木を山の上に植えてくればいいんだね。わたし行ってくる!」
「パール、よろしくな」


そうはいったもののパールちゃんは、海からでたことがなく不安でいっぱいでした。
でも、おじいちゃんや海のため勇気をだし頑張ろうと決めました。
はじめて海から出たので歩き方や山の位置など何にもわかりません。
「わぁ、どうしよう、、、。山ってどっちに行ったらいいんだろう?」


砂浜で困っていると、人間の女の子が近づいてきました。
「わー大きな貝だな~。こんな大きな貝は見たことないや!どーしてこんなとこにいるんだろう」
と手を触れた瞬間・・・


パカッ!と口を開き、中からパールちゃんが顔を出しました。
「わっっっ!」
女の子はとてもビックリして飛び上がりました。
パールちゃんも、はじめての人間にドキドキでした。でも勇気をだして女の子に話しかけました。
「あたし、パール。あなたは?」
「私は、アコ」


「パールちゃんどうしたの?どこから来たの?」「パールちゃんはどこから来たの?」
「海からきたの」・・・
そしてパールはおじいちゃんや海のことをアコちゃんに話しました。
「私たち人間が生活ででるゴミが海をよごしているのかなぁ?ごめんなさい。どうすればいいのかな~」


「おじいちゃんがこれを山に植えればまた海も綺麗になるって言ってた。」
「えー、そーなの?この苗木を山に植えたらいいんだね。それじゃ私も手伝う!一緒に行こう!!」
「アコちゃん、ありがとう。」


パールちゃんは、アコちゃんの案内で山のふもとにたどり着きました。するとアコちゃんが
「あれ?なんだかいつもとちがうなぁ?」
「どうしたの、アコちゃん」
「お花もないし木に葉っぱがない、前は緑がいっぱいだったのに」


しばらく進んでいくと、魚さんにあいました。
「魚さんどうしたの?元気がないね?」
「昨日の雨で水が濁ってしまって、川の中が真っ暗でうまく泳げないんだよ」
「草木がないから、大地に水がたまらなくて勢いよく川に流れだしちゃうんだね。」
「川のお魚さんたちも大変なんだ」


さらに進んでいくと、鳥さんがいました。
「鳥さんどうしたの?眠そうだね」
「葉っぱがないから、夜月がまぶしくて寝れないんだよ」
「鳥さんたちも大変なんだ」


さらに進んでいくと、リスさんがいました。
「リスさんどうしたの?大丈夫?」
「木の実やどんぐりがないから、腹ペコだよ」
「リスさんたちも大変なんだ」


だんだんと斜面が急になってきたその時です。
「だれだ~、お前たちぃ~」と低い大きな声が聞こえてきました。
ふたりはビックリして辺りを見回しましたが、だれもいません。
「おーい、どこを見ているんだ!ここだよ、ここ!」
あたりを見回すと地面に大きな目があり驚きました!


「あーーー!山さんだ~!!やっと会えた~こんにちは!」
「山さん、私は海から来たパールといいます」「わたしはアコ」
「お前たち海から来たのか」「はい」
「今海の水がよごれて大変なことになってしまっているの。海の水の汚れのせいでおじいちゃんが体調を崩しているの」
「そうか、それは大変だったな」


「あとおじいちゃんが苗木を山に植えるとまたキレイな海に戻るって言ってた」
「これがその苗木か」
「そうか、これを山の頂上に植えればいいんだな」


「そ~ら、これでどーだ!」
すると、パッパッパッパッとスゴイ音と風がふきました。2人はびっくりし目をつぶってしまいました。


おそるおそる2人は目をあけてみると、風は止みあたりは一気に明るくなりました。
みるみる葉が生え、花が咲き、蝶たちが集まってきました。
「わぁ、キレイ!わぁ、いいニオイ」


しばらくすると、あたりはすっかり緑でおおわれ、川面はみるみる澄んできれいな水になりました。
「やったね!パールちゃん」
「わー緑がいっぱい、山が戻った!」
「パールちゃん、これでお爺ちゃんも元気になるね。」
「アコちゃん、ありがとう。山さん、ありがとう。」


アコちゃんとパールちゃんは山を下り、パールちゃんは海に戻っていきました。
秋になり落ち葉から栄養が川から海に流れ、海が綺麗になり、森は元通り元気になりました。


昔のような輝く綺麗な海になり、栄養たっぷりの水でおじいちゃんは元気になりました。


パールちゃん、これからは海が汚れないように気を付けるね。パールちゃん、今日も海が綺麗だね。




あとがき:パールは海からの贈り物。

 
パールは海の中で育まれます。
パールは貝によって育まれます。
キレイなパールは、キレイな海でないと生まれません。
だからパールはキレイな海が好きです。
 
ところが私たちの生活が豊かになるにつれ、残念なことにその大切な海が汚れてきています。
自然環境は循環していることを知るきっかけになればうれしいです。
ナガイツトム / フジイユタカ