つかえた主人が羽根を休めると

黒龍は去った


重く暗い煙を体に宿した黒龍は

主人だけには従ったが

主人が冬眠に入ったとき

その背を刺した


それは、


黒龍の怨みか

世界のためか

主人のためか



ただわかっているのは


主人は覚醒し

さらなる高みへ行った


黒龍は

主人のまわりに渦巻く闇を

すべて抱えて去っていった


それは、定めか、運命か


ただ、わかっているのは


主人は美しい月のように輝き

さらに輝きを増している

ということだ。





〜GASSHOW〜


猛た波が喰らふは

千の意思と万の生きし

御霊と一片の祈り

八百万掬い給えと


その裂けた命乞ふ声さへも

海に響く鼓膜なく

今も何処かの海で

絶へず木霊し続けるのだろう


君の匂いは帰る場所

細い指先は向かう場所

万感の想いで積み上げた今日も

嘘になるなら真実などもういらない


怒りもせず涙も見せぬ

空と陸の狭間で生きるは

現を背に痛みに狂う

我ら似て非なる群れた患者


猛た波が喰らうは

千の意思と万の生きし

御霊と一片の祈り

幾年がまとめて刹那に


果てた陸に何を唄へば

再び光は芽吹く


今はこの調べを蒔いて

彷徨う友が帰る道しるべとして


出逢えたからここに在る

この空っぽだから大事にするよ


運命か采か 昨日と今日の

狭間に終えた君の御霊と

引き換えに得たこの身のすべては

形見だから守り通すよ


はじめてだよ

跡形も無い君に

声を振るわせ

届けと願うのは