こんにちは、糖尿病専門医のあーこです
不妊治療中のTSH管理についてコメントにもあったのでピックアップしてみます
前回の記事抜粋
甲状腺機能低下症は不妊や流早産の原因に
甲状腺機能低下症では妊娠率の低下、流産、早産の増加、妊娠中毒症の増加などが知られています。
不妊治療を行っている婦人科では甲状腺機能を測ることが多く妊娠する前に(潜在性)甲状腺機能低下症が見つかることがあります。
甲状腺ホルモンが少ないと赤ちゃんに影響してしまうため、明らかな甲状腺機能低下症がある場合はチラーヂンSというお薬を飲んで、TSHが2.5以上にならないようにキープしなければいけません。
でも潜在性甲状腺機能低下症(FT3、FT4が正常)の場合はTSHが2.5から5の間では最近の研究では妊娠率や流産率には違いはないと報告されています。TSHが5以上の場合は補充療法を行う方が良さそうです。
前回書いたことが全てではありますが、
ちょっとだけ詳しくわかりやすく書きます
橋本病と診断されている人とそうでない人で目標値も変わります。
もし不妊治療の検査でTSHだけ引っかかった場合ですが、
①自己抗体陽性(抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体)の場合は
橋本病による甲状腺機能変化が考えられます。
自己抗体陽性でTSHが2.5以上であれば治療したほうが良さそうです。
体外受精や顕微受精などの生殖補助医療(ART)を受ける方はTSH2.5未満とすることが推奨されています。
②自己抗体陰性の場合
TSHが少し高いのが一時的かもしれず、(海藻多食、薬剤などが原因のこともあります。)TSHが基準値上限以下の場合は、流産などのなんらかの妊娠リスクは予想されるものの介入の有効性は十分とはいえません
基準値上限とはTSH5.0としているところが多いので、自己抗体陰性の場合は、
TSHが2.5〜5.0の人はご相談次第、、ということになってしまいます。
2回測定して2回とも高ければ再現性があるので、妊娠に少しでもメリットがあるかもしれないということで、チラーヂンSを内服するのはアリだと思います
甲状腺に詳しくない内科の先生ならこの判断が難しいかもしれませんので、ある程度ご専門の先生が良いのかもしれませんね