【三重県―京都府】（２月２日）

　それは関西本線にある駅。長い間この地の県境の駅は伊賀上野だと思ってた。しかし「島ヶ原」っていう駅があったのね・・申し訳ない・・知らなかったわあ。

島ヶ原駅

　駅前にはこじんまりした広場がありコミューターバスが乗り入れている。左側には観光案内所兼市営駐車場管理の建物がありトイレも外にある。喧騒が全くなく実に静かな駅前だ。

　駅前道路はゆるく勾配を上り駅に達するが狭く駅前に特に店もない。

　駅舎はこぎれいな佇まいで修復されているようだ。窓口業務は委託でその方が市営駐車場の管理も行ってる。

　駅舎内はきれいに掃除され自動改札機はない。駅務室でおっちゃんが駐車料金の受け取りを含め代行業務をやっておられた。列車は上下ともに一時間に一本！　やはりここまで来ると列車密度は極端に少ないなあ。

　やはり国鉄駅としてかつて中線を有した長いホームを有している。右側には駅舎の手前が終端の貨物側線が残っている。

　その貨物線ホームを利用した市営駐車場に我が愛車が！。　列車で来ようと思ったんだけれど列車本数を見て諦めたのね。しかしここまで遠かったあ・・。

　伊賀上野・亀山方。駅はゆるい斜面の途中にあり駅の東側に町があり西側は山である。

　京都方はカーブを描きこの先トンネルを抜け月ケ瀬口駅の手前に府県境がある。しかし京都との先はほんの２～３㎝（地図上ネ）ですよ。

　上下ホームは跨線橋で結ばれている。

　亀山方面ホーム上の待合室の壁には松・竹・（梅・・あったかなあ）・鶴を配した渓流が描かれていた。

　この駅で亀山行きと加茂行き列車が交換するんですな。今では亀山以西の関西本線に優等列車は一本もない。

　本線でありながらミイラ化した枕木が少なくない。

　印象：列車本数も少なく駅前に人通りはなく乗客もちらほら。伊勢湾岸に住む私としては違和感が強く「ここも三重県？？」と疑いたくなる駅だった（・・失礼・・）。この辺りの住民は県庁所在地「津」は物凄い遠隔地なんだろうなあ・・。多分今回の訪問が最初で最後かも。

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【三重県―奈良県】（３月３日）

　そこにあるのは近鉄大阪線「赤目口」駅である。以前は奈良県だと思ってた。久しぶりに電車でやって来たのだが例の如く青山峠を越えるには特急に乗らなければどうにもならないのだ。特急並みの快速急行は本数が少なく一時間に一本の急行は峠前後を各駅停車するからめちゃくちゃ時間がかかるのね。

赤目口駅

　駅前広場。右側にはバス乗り場がある。

　こじんまりしたモダンな駅舎で無人である。トイレは駅舎の外・左側にある。

　駅舎の直ぐ隣にある観光案内所であるがオフシーズンの平日であるためか締まってる。

　面白いのはこのバス乗り場。駅舎側からぐるりと柵で囲まれた通路を通ってバス停に。赤目滝方面にバスで向かう観光客はこの通路を通るようだ。観光客が列をなすいかにも観光地らしいバス乗り場だがシーズン（新緑～紅葉）に行列が出来るのか知らん。

　しかし・・

　運行されてるバスの本数はこんな感じ・・。滝入り口まではバスで約１０分。シーズンには臨時増発があるのかな？

　駅前にある一軒の飲食店。まあ寂しい光景ですよ。

　駅前広場を右へ進むと疎らに民家があるだけ。

　赤目滝へは画面奥へと進む。駅広場は右側。

　駅前広場を左に出ると県道は大阪線線路を潜って国道１６５号線を介し名張に至る。

　改札口を通り抜けるとそのまま上り大阪方面２番線ホーム（画面右側）へ至る。

　左スロープで大阪方面２番線ホームへ。そして下り名張・名古屋・伊勢方面１番線ホームへは地下通路を進む。

　右が２番線上りホームで向かいが下り１番線ホーム。

　大阪方。当駅のホームはなんと１０両編成対応である。画面奥の山へ入るとそこは奈良県。

　田舎の駅ながらさすがに１０両ホームは長い！　「ひのとり」名古屋行き。当駅は高速で通過する特急以外全列車が停車する。

　下り１番線ホームに至る地下通路。

　上下ホームの待合室はホームの外側に設けられている。

　ホームのベンチは相当年季の入った長い木製で昔国鉄駅でよく見られたなあ。これはこれでなかなか味わいのあるベンチだ。

　名張方。当駅の前後は緩い起伏があるものの直線区間でちょうど東西山間部の中間にあたる。

　ところでホーム上屋のある位置は・・

　石積みホームで参宮急行電鉄時代のものだろうか。その前後が長大編成用にホームが延長されている。

　高速で通過するアーバンライナー名古屋行き。

　特急以外全列車が停車する。しかし急行・準急はこの区間では各駅停車でありかつての大阪線急行らしい停車駅が少ないのは鳥羽行き快速急行であるが本数が少ない。また名張・青山町止まりの列車が多く逆にそれらの駅は大阪方面へ向かう列車の始発駅でもあり名張は大阪への通勤圏だ。一方同じ三重県でも伊勢湾岸は名古屋への通勤圏である。

　６両編成の大阪上本町行き急行。大阪への通勤客輸送のためこの区間の普通列車でも６・８・１０両編成がある。特急を含めしばしば名張で増解結が行われている。大阪線では名張・青山町を境にこんな田舎でも列車は都会の様相を呈している。一方名古屋線では急行は６両・普通は２～３両が基本だ。

　あと当駅で気になったのが・・

　現在変電設備のある上り２番線ホーム沿いの空き地だ。当初から大阪線は広軌軌道で貨物輸送は行われておらずこの空き地は保線用の線路のあった場所か？？

　また・・

　下り１番線ホームの横にも待避線を思わせるいかにもな空き地がある。

　ちなみに・・

　１番線ホーム上屋の大阪方の屋根にはいかにも線路がカーブして列車がホームに接近するような欠き取りがあり・・

　上屋の反対側の軒板に飾りが施されている。ただ上屋は片流れ構造だから１番線に退避用の副本線があったと考えるには無理があるか・・。

　印象：伊勢湾岸の名古屋線沿いに住む私にはこの地の列車編成数を見るとやはり強い違和感があ。住民は大阪を向いてるじゃないか！

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【三重県―和歌山県】（４月２３日）

　コロナ禍で外出もままならずかつ遠いのでつい後回しになってしまったのが紀勢本線「鵜殿駅」訪問である。バイクで行こうか車で行こうか特急南紀で行こうか・・しかし鵜殿駅は和歌山県新宮駅の一つ手前の駅。新宮まで行ってしまうと県境を跨いでしまうじゃないか！　では熊野駅から普通列車に乗り換えて・・しかし特急と普通列車の連絡はほぼ一時間待ちの致命的状況なのだ。などといろいろ迷っていたのだ。４月後半になってから三重県でも感染者が漸増しまん延防止何とか対策が取り沙汰されるようになり５月連休は沈没しそうな雰囲気だ。ここんとこいい天気が続いているので４月２３日思い切って車で行ってみた。もちろん伊勢自動車道～紀勢自動車道の高速を使って・・後者は尾鷲辺りでまだ途切れてるけど。いやあ我が家から実に３時間半もかかってしまった。更に現地は小雨！！　バイクで行かなくって良かった。

鵜殿駅

　鵜殿市街を通る県道はかつての国道４２号線。右に曲がると鵜殿駅がある。国道はバイパスとして新たに駅の西側に映ったので市街地を通る車は少ない。

　ちょっと拍子抜けする様な鵜殿駅舎で勿論無人である。左の小さな小屋はトイレ。

　駅前広場は決して広くはない。県道の向かい側にはビジネスホテルがある。

　駅舎の中も決して立派とは言えず最低限の出札窓口と手荷物扱い窓口は当然閉鎖されている。

　そして気の毒なほどに少ない列車本数。関西本線島ヶ原駅ですら一時間に一本だったのにここは歯抜け状態じゃないか！

　駅舎からホームへ向かうと下り本線と駅舎の間には線路が剥がされた跡が！

（亀山方）

（新宮方）

　これこそ紀州製紙（現北越コーポレーション紀州工場）の出荷を担っていた貨物側線だ。専用線は旧国道４２号線を横断し工場内へ向かっていた。はるか向こうで蒸気が上がっているのが製紙工場。ここ鵜殿から延々紀勢本線を北上し伊勢鉄道線を通って最近までＤＤ５１牽引による紀勢本線唯一のコンテナ貨物列車が運行されていたのだ。

　構内は島式ホーム一面の上下二線構造。

　ホームから新宮方を見る。町の中心紀宝町役場は工場の更に向こうにある。

　熊野川を渡たると和歌山県新宮市。

　亀山方。３階建てのビルは紀北警察署。長い貨物側線跡が広がっている。

　ホームは随分長いがかつての客車列車運行時の名残か・・。

　コンテナ貨物列車を撮影に訪れたファンも多かったが今ではただの空き地になってしまった側線跡がなんとも寂し気だなあ・・。そして貨物列車がなくなった今鵜殿駅はなんの特徴もない小駅になってしまった。

　そうこうしてると・・

　名古屋８時５分発の特急南紀１号が新宮に向かってゆっくりと通過していった（１１時３０分頃）。名古屋を出発して約３時間半である。昨年１１月にJR東海から南紀の２両編成化とG車廃止のアナウンスがあり早々に２両化される率が高かった１号も最近は再び中間車キハ８４を編入した３両編成で運行されている。

　印象：しかし三重県は広いなあ‥特に南北が！　勝手ながら三重県は伊勢湾岸だけと思ってる私からすれば辺境の地にはやはり少なからぬ違和感を覚えた。何しろ鵜殿駅地域は中部電力じゃなくって関西電力から給電されてるし買い物はお隣の和歌山県新宮に行っちゃうからなあ。当たり前ながら駅前を通る車に和歌山ナンバーが多い。住民が名古屋やまして東京へ行こうとすると大変だなあ・・大阪へも遠いし。紀伊半島を半周する高速道路が全通しても矢張りその距離は相当だし。一時間内で名古屋へ行ける私からすれば実に辺鄙な場所だ。三重県とは思えないなあ・・。

　特に違和感が強かったのは・・

　延々と続く国道沿いの防風林と・・

　なんと言っても太平洋が面前に広がってる光景だ！　この海の向こうはアメリカですぞ！！　伊勢湾岸に住む私にははるか向こうの国を見られないのだ・・見えるのは対岸の知多半島。

　いやあ実に面白かった！！　人は自分が住んでる狭い地域だけが自分の住む県だと思ってるけど県境に住む人々は隣県を向いてるんだねえ。勉強になりました！

国境の駅を訪ねて：後編