クロワッサンでの人生案内が気に入った
平安寿子さんの”こっちへお入り”と言う小説読んでいます。
最近落語も気になっているので
丁度落語の演目のレクチャーをしてもらいながら
それにからげた短編を組み上げながら自分の恋愛話を
織り込む手法はさくさくと楽しく読めます。
その中で”文七元結”の章
落語のあらすじは
博打で借金まみれになった左官の長兵衛を見かねて
一人娘のお久が吉原に身を売りに行き
その決意に胸を打たれた女郎屋の女将が期限付きで
50両貸してくれます。
そんな大切な50両だったのですが
偶然すりに金を取られた若者が自殺する現場に
出くわした長兵衛はその金を若者にそっくり渡してしまいます。
名も名乗らず去っていった長兵衛でしたが
彼のしたことに感動した文七の雇い主がお久を身請けして
文七と夫婦にしたというお話です。
ここの聞かせ所は
自殺しようとする文七に長兵衛が言うせりふです。
「この金が無けりゃあ、おまえは死ぬんだろう。
俺のほうじゃあ、誰もしなねえ。
かかあがギャーギャーわめいて、娘が女郎になるだけだ」
随分身内にとっては大変なことだと思います。
文七は世慣れていなく世間知がないから
世の荒波を乗り越えていけないと見抜いているんです。
自分たちは地べたを這ってでも生きていける。
それを誇りを持って表現しているのですね。
話は飛びますが
http://wjproducts.seesaa.net/article/183452578.html#comment
こちら”美人になる方法”
で似ている考え方だなあと思う
中国人のお話がありました、抜粋させていただきますと
「日本ではあまりない光景でしょう?
中国人はすごく素直に生きています。
日本人は、つらいと自殺するでしょう?
中国人に自殺はありえないんですよ」って。
「え?自殺しないの?じゃあ、もし、借金で大変な目にあったり、
辛いことでしんどかったらどうなるんですか?」と聞き返しました。
ガイドさんは、「中国人はあまり、つらいとも思いませんし、
借金で取り立てられて大変な時には、
地の果てまでも逃げるんですよ。
何で日本人が自殺するのか、私たち中国人には理解できません」
中国人も江戸時代の長屋の長兵衛みたいに
地の果てまで逃げる才覚があるんです。
何をしてでも生きていく逞しさ、
”俺のほうじゃあ、誰もしなねえ”
力強い言葉です。
精一杯の見栄を張って命を助けます。
そうやって無一文になったって
生きていく事は恥ずかしくない、
誇りを持って絶望せず生き抜くんですよね。
だから文七元結は名作なんです。